• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

町内の皆さん、こんにちは。朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたが、お店や工場の暖房費や燃料代、頭が痛いですよね。物価高や人手不足など、経営を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いています。「何か良い打開策はないものか…」とお悩みの経営者様も多いのではないでしょうか。

そんな中、先日国から発表された「令和8年度税制改正大綱」には、私たちの町の小さなお店や会社にとって、追い風となりそうな変更点がいくつも盛り込まれています。

「税制改正なんて、難しい言葉ばかりで自分には関係ないよ」と思わずに、少しだけ耳を傾けてみてください。

今回は、備品の買い替え枠の拡大や、パートさんが働きやすくなる壁の見直し、そして事業承継の期限延長など、串本の事業者の皆様にこれだけは知っておいてほしい「4つの重要ポイント」を厳選して解説します。

これからの経営に役立つヒントがきっと見つかります。温かいお茶でも飲みながら、一緒にこれからの商売のことを考えてみませんか。

◆令和8年度税制改正大綱はコチラから御覧ください

今回の改正で最も注目されているのが、深刻な人手不足への対策です。パートさんの働き方と、従業員さんへの福利厚生について、大きな変更が予定されています。

パートやアルバイトの方が、税金を気にして働く時間を調整する、いわゆる「年収の壁」。これが、基礎控除等の引き上げにより、所得税が発生するラインが現行の「103万円」から「178万円」へと大幅に引き上げられる方向で合意されました(令和8年からの適用予定)。

これが実現すれば、年末の繁忙期に「これ以上働くと扶養から外れるので…」とシフトに入れないスタッフさんの悩みが解消されます。

特に、串本の観光シーズンや年末年始に、戦力であるベテランのパートさんに気兼ねなく働いてもらえる環境が整うのは、経営者として本当に助かりますよね。

もう一つ、見逃せないのが従業員さんへの「食事補助(まかない等)」に関する変更です。

従業員さんに食事を出す際、会社が負担しても給与として課税されない(非課税となる)限度額が、現行の月額3,500円から「月額7,500円」へと一気に倍増します。これは実に42年ぶりの改正です。

物価高で食費の負担が増える中、「うちは美味しいまかないが安く食べられるよ」「お昼ごはんの補助が手厚いよ」というのは、強力なアピールポイントになります。

賃上げは難しくても、こうした福利厚生を充実させることで、良い人材に来てもらい、長く働いてもらう。そんな温かい職場づくりを、税制が後押ししてくれています。

商売道具を買い替える際のルールも、使いやすく変わります。

これまでは「30万円未満」のパソコンや機械でないと、一度に全額を経費にできませんでした(少額減価償却資産の特例)。今回の改正で、この上限額が「40万円未満」に拡大される見込みです。

「30万円台の高性能なパソコンが欲しいけど、減価償却の手続きが面倒で…」「新しい業務用冷凍庫、35万円だと今年の経費にならないのか…」

そんな風に諦めていた設備投資はありませんか?

この特例枠が10万円広がることで、例えば以下のようなものが一括で経費計上しやすくなります。

利益が出ている年度にこれらを購入すれば、即座に経費として計上でき、節税効果も得られます。令和8年4月以降の取得が対象となる見込みですので、急ぎでない買い替えは、時期を見計らって計画しましょう。

インボイス制度が始まってから活用されてきた「2割特例(売上税額の2割を納めれば良い制度)」ですが、残念ながら法人・個人ともに令和8年9月末で予定通り終了することが決まりました。

「えっ、じゃあ計算が大変になるの?」と心配された個人事業主の皆さん、安心してください。救済措置が用意されています。

個人事業主の方に限り、新たに「3割特例」という制度ができる見込みです。

これは、インボイス発行事業者になった個人の方が、売上税額の3割を納めればOKというシンプルな仕組みです。期間は令和9年・10年の2年間限定ですが、事務負担の急増を防ぐための大切なクッション期間となります。

一方で、法人の方は令和8年10月以降、原則課税か簡易課税への完全移行が必要になります。特に簡易課税制度を選ぶ場合は事前の届け出が必要ですので、早めのシミュレーションが欠かせません。このあたりの判断は複雑ですので、ぜひ商工会にご相談ください。

お店や会社を次世代に譲る際、贈与税や相続税が猶予される「事業承継税制」

この特例を使うために県に提出する「特例承継計画」の提出期限が、延長されることになりました。

「手続きが間に合わないかも」と焦っていた方には朗報です。しかし、注意していただきたいのは、これはあくまで「時限措置の延長」であり、制度が恒久化されたわけではないという点です。

実際に株式や事業用資産を後継者に渡す(贈与・相続する)期限自体は延長されていません。

「まだ先でいいや」と思っていると、一番お得な特例を使えなくなる可能性があります。

ロケットの町として未来へ進む串本で、皆さんの大切な暖簾(のれん)もしっかり次世代へ繋いでいくために。計画の提出がまだの方は、この延長期間を「ラストチャンス」と捉えて、早めに動き出しましょう。

今回のニュースについて、皆様が関心をもたれるであろう質問をまとめました。

A. 基本的には、これまで「2割特例」を使えていたような小規模な個人事業主の方が対象です。

法人は対象外ですのでご注意ください。「ずっと免税事業者だった」という個人の方なら、多くの場合対象になります。

A. ちょっと待ってください!制度が始まるのは「令和8年(2026年)4月1日」からの予定です。

今(令和7年)買うと対象外になってしまいます。お急ぎでなければ、来年の春まで待つのがお得ですよ。

A. いえ、法人の方は特に急いでください。

計画の提出期限(令和9年9月末)と、実際に株を譲る期限(令和9年12月末)が3ヶ月しか離れていません。ギリギリだと手続きが間に合わない危険があります。「早め早め」が鉄則です!

今回の税制改正大綱は、物価高や人手不足に立ち向かう事業者の皆様を応援する内容が含まれている一方で、インボイスや事業承継のように期限を意識すべき点もあります。

制度は「知って使う」ことで初めて力になります。

そんな疑問が浮かんだら、迷わず串本町商工会へお越しください。私たちが、皆様の事業所ごとの状況に合わせて、最適な活用方法を一緒に考えさせていただきます。

新しい税制を味方につけて、厳しい時代を乗り越え、共に串本の商売を盛り上げていきましょう!


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