「省エネでコスト削減」と「新規取引拡大」を同時に実現!
「カーボンニュートラル」(※1)という言葉、最近よく聞くけれど、「うちのような小さな会社には関係ない」と思っていませんか?
実は、省エネ対策はコスト削減につながるだけでなく、取引先からの評価アップや補助金獲得のチャンスにもなります。経済産業省と環境省が2025年4月に公開した支援策ガイドブックには、小規模事業者でも使いやすい支援制度がたくさん紹介されています。
この記事では、明日から役立つ支援制度を、事業者目線でわかりやすくご紹介します。
※1 カーボンニュートラル:二酸化炭素(CO₂)の排出量と吸収量を均衡させること。企業活動でいえば、CO₂の排出を減らしたり、排出分を相殺する取組を行うことです。
カーボンニュートラルに取り組むと得られる5つのメリット
小規模事業者がカーボンニュートラルに取り組むメリットは以下の通りです。
カーボンニュートラルの具体的なメリット:
- 光熱費・燃料費の削減: 省エネ設備の導入で毎月の固定費が下がります
- 新規取引先の獲得: 環境対策に熱心な大企業との取引機会が増えます
- 知名度・認知度の向上: 先進的な取組として紹介されることで企業PRになります
- 融資条件の優遇: 脱炭素経営(※2)に取り組む企業として金融機関から評価されます
- 人材確保・定着率向上: 社会貢献している企業として従業員のモチベーションアップにつながります
これらのメリットを実現するための支援制度を、具体的に見ていきましょう。
※2 脱炭素経営:企業活動における温室効果ガス排出量の削減に取り組む経営スタイル。省エネや再エネ導入などを計画的に進めることで実現します。
カーボンニュートラルを進める3つのステップと支援策
カーボンニュートラルは、以下の3ステップで進めるのがおすすめです。
ステップ1:カーボンニュートラルについて知る
◆活用できる支援策:
- カーボンニュートラル相談窓口(中小企業基盤整備機構)
- 無料で何度でも相談可能
- オンラインでも対応
- 経験豊富な専門家によるアドバイス
- 参考情報(ハンドブック・事例集など)
- 脱炭素経営ガイド(環境省)
- 温室効果ガス排出削減等指針(環境省)
- カーボンニュートラルチェックシート(中小企業基盤整備機構)
ステップ2:排出量等を把握する
◆活用できる支援策:
- 省エネ診断(※3)
- 完全無料で利用可能
- 専門家が設備の運転状況を確認し改善提案
- 「運用改善」と「設備更新」両方のアドバイスが得られる
- 排出量算定ツール
- CO₂チェックシート(日本商工会議所)
- EEGS(環境省):排出量の算定・公表が可能なシステム
※3 省エネ診断:専門家が事業所を訪問し、エネルギーの使用状況や設備の運転状況を調査して、省エネのためのアドバイスを行うサービス。無料で受けられます。
ステップ3:排出量等を削減する
◆小規模事業者におすすめの支援策:
- 省エネ設備導入支援
- 省エネ・非化石転換補助金:LED照明、高効率空調、省エネ冷凍冷蔵ケースなどの導入を支援(補助率1/3〜2/3、上限1〜15億円)
省エネルギー性能の高い設備や化石燃料(石油・石炭・ガスなど)以外のエネルギーを使用する設備への更新を支援する補助金。
- SHIFT事業:工場・事業場の電化・燃料転換・熱回収などを支援(補助率1/3、上限1〜5億円)
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業の略称。工場や事業場への脱炭素技術の導入を支援する制度。
- 建物の省エネ化支援
- 脱炭素ビルリノベ事業:業務用建築物の断熱化・高効率空調機等の導入を支援(補助率1/2〜1/3、上限10億円)
- ZEB補助事業:ZEB基準を満たす省エネ建築物への改修を支援
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、消費するエネルギーを大幅に削減した上で再エネを導入し、エネルギー消費をゼロにすることを目指した建物のこと。その実現を支援する補助事業。
- 再エネ導入支援
- 自家消費型太陽光発電・蓄電池導入補助金:PPA方式なら5万円/kW、自己所有なら4万円/kW(上限3,000万円)
自家消費型太陽光発電とは、発電した電力を売電せず、自社で使用するタイプの太陽光発電システム。
- リース・融資等の支援
- ESGリース促進事業:省エネ機器等をリースで導入する際に総リース料の1〜4%を補助
ESGリース促進事業とは、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営を推進するため、脱炭素機器等をリースで導入する際に補助を行う事業。
- 日本公庫による環境・エネルギー対策資金:GX関連の融資(上限7,200万円)
- クリーンエネルギー車両導入支援
- CEV補助金:EV導入時に最大85万円、軽EVで55万円の補助
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金の略称。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車などの購入を支援する制度。
身近ですぐに始められる取組例
小規模事業者でもすぐに始められる取組をご紹介します。
- 照明のLED化: 電気代が約40〜50%削減可能
- 空調設備の更新: 10年以上前の機器なら最新型に更新で約20〜30%省エネ
- 断熱対策: 窓ガラスへの断熱フィルム貼付で冷暖房効率アップ
- エコドライブ: 急発進・急加速を控え、アイドリングを減らすだけで燃料費削減
- 太陽光発電導入: 屋根の空きスペースを活用して電気代削減(PPA方式(※10)なら初期費用ゼロ)
※10 PPA方式:Power Purchase Agreement(電力購入契約)の略。設備会社が事業者の屋根などに太陽光発電設備を設置・所有し、事業者はその電力を購入する契約方式。初期費用なしで太陽光発電を導入できるメリットがあります。
カーボンニュートラル対策フローチャートで自社に合った支援を見つける
経済産業省・環境省のガイドブックには、自社の状況に合った支援策を見つけるためのフローチャートが掲載されています。
例えば、以下のような疑問に応じた支援策がすぐに見つかります。
- 「何から始めたらいいかわからない」→ カーボンニュートラル相談窓口
- 「CO₂排出量を把握したい」→ 排出量算定ツール
- 「省エネについて相談したい」→ 省エネ診断
- 「省エネ性能の高い設備に更新したい」→ 省エネ・非化石転換補助金
- 「EV等を導入したい」→ CEV補助金
- 「再エネ電気を使いたい」→ 太陽光発電設備等導入補助金
まとめ:カーボンニュートラルは「コスト削減」と「経営強化」のチャンス
カーボンニュートラルへの取組は、小規模事業者の皆さんにとって「経費削減」と「取引先からの評価向上」というメリットがあります。
- 照明や空調の更新で毎月の光熱費を削減
- 省エネ設備導入の際は各種補助金を活用
- 太陽光発電は初期費用ゼロでも導入可能
- 専門家の無料相談で自社に最適な対策を発見
詳しい支援内容は、経済産業省・環境省の「中小企業等のカーボンニュートラル支援策(2025年4月)」ガイドブックをご覧ください。
もっと詳しく知りたい方へ
串本町商工会では、これらの支援策活用に関するご相談も受け付けております。お気軽にお問い合わせください。