「また地震の話か…」と思われるかもしれませんね。ですが、私たちの大切なこの町で商売を続けていくために、どうしても知っておいていただきたい大切な制度の話です。
南海トラフ地震が今後30年以内に 70%~80% の確率で発生すると言われています。もしもの時、お店を、そして従業員やご家族の生活を守るための備えはできていますでしょうか。「防災グッズは準備したけど、お店のことは何も…」そんなお悩みをよく耳にします。
この記事では、そんな事業主の皆さんの不安を少しでも安心に変えるため、国が後押しする「事業継続力強化計画」という制度について、私たち商工会が分かりやすく解説します。
この記事を読んでいただくと、
決して難しい話ではありませんので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
「事業継続力強化計画」、愛称で「ジギョケイ」と呼ばれています。これは、自然災害や感染症の流行といった、予測できない事態が起こった時に、皆さんの大切な事業をどうやって継続していくか、そのための計画を立て、国に認定してもらう制度です。
「BCP(事業継続計画)という言葉は聞いたことがあるけど、なんだか難しそうだ…」と感じる方も多いかもしれませんね。確かに、これまでのBCPは大企業向けで、少し複雑なものでした。
ですが、この「ジギョケイ」は、私たちのような小規模事業者が取り組みやすいように、内容が簡素化されているのが大きな特徴です。防災・減災のために「まずこれだけはやっておきましょう」という基本的な取り組みをまとめるものだと考えてください。
例えば、
こういった、今からすぐにでも始められるような、身近な備えを計画に盛り込んでいくのです。
ご存じの通り、私たちの住む串本町は、南海トラフ地震が発生した場合、震度6以上の揺れと、場所によっては最大10mの津波が想定されています。これは、決して他人事ではありません。
お店が壊れてしまったり、商品や設備が被害を受けたり…。それだけではなく、停電や断水が長く続けば、営業を再開することすら難しくなってしまいます。
経営資源に限りがある私たち小規模事業者にとって、一度事業が止まってしまうことの影響は計り知れません。だからこそ、被害をできるだけ小さくし、一日でも早く事業を再開するための事前の「備え」が、本当に大切になってくるのです。
この計画を立てることは、万が一の時にあなたのお店と従業員を守るだけでなく、地域全体の経済を守ることにも繋がります。
この計画を立てて、国から認定を受けると、事業を続ける上で心強いメリットがたくさんあります。ここでは、代表的なものを3つご紹介しますね。
「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、「IT導入補助金」など、国の様々な補助金を申請する際に、この計画の認定を受けていることが加点評価され、採択されやすくなる場合があります。
これは、国が「災害にしっかり備えている事業者さんを応援しますよ」という明確なメッセージですね。
計画に沿って購入した防災・減災設備(例えば、自家発電機や止水板など)について、取得価額の18%を特別償却できる税金の優遇が受けられます。
少し難しい言葉ですが、これは「買った設備の金額の一部を、早めに経費として計上できるので、その年の税金の負担が軽くなりますよ」という、とてもありがたい制度です。(※令和7年3月31日までの取得が対象)
日本政策金融公庫から融資を受ける際に、通常よりも低い金利が適用される制度があります。例えば設備資金なら、基準の金利から0.9%も引き下げになります。いざという時のための資金調達がしやすくなるのは、心強いですね。
この他にも、認定を受けたことを示すロゴマークを使えるようになったり、取引先からの信頼が上がったりと、たくさんの良いことがあります。
「なるほど、メリットはよく分かった。でも、いつから準備すればいいんだろう?」と思いますよね。
結論から言うと、「思い立ったが吉日」ですが、特に補助金の活用を考えている方は、できるだけ早めに準備を始めることをおすすめします。
なぜなら、計画を申請してから国の認定が下りるまで、標準で45日ほどかかるからです。
また、申請には「GビズID」というものが必要で、この取得にも2週間ほどかかる場合があります。
▶GビズIDの取得はコチラから
「あの補助金に申請したい!」と思ってから準備を始めると、締切に間に合わない…なんてことも十分に考えられます。補助金は、未来への投資の大きなチャンスです。そのチャンスを逃さないためにも、事前の準備が何よりも大切なのです。
「制度のことは分かったけど、一人で計画を作るのはやっぱり難しそう…」
「GビズIDとか、電子申請とか、なんだかよく分からない…」
ご安心ください。私たち串本町商工会が、計画の策定から国の認定申請、その後の補助金活用まで、無料でしっかりとお手伝いします。そのために、いくつかの相談の機会をご用意しました。
「何から始めればいいの?」を解決するために、専門家を招いてセミナーを開催します。計画づくりのはじめの一歩として、お気軽にご参加ください。
毎月開催している「お困り事!ワンストップ支援!経営特別相談会」ですが、10月9日(木)と、きたる11月6日(木)には、特別に「事業継続力強化計画」の個別相談窓口を設けることにしました。
特に11月6日の相談会には、日本政策金融公庫やよろず支援拠点など、様々な分野の専門家が集結します。そのため、「ジギョケイ」の計画づくりと合わせて、防災設備のための資金繰りの相談や、経営全般のお悩みも一度に解決できる絶好の機会です。
専門家がマンツーマンで、「うちの店の場合はどう考えればいいの?」といった具体的なご相談にじっくり乗りますので、この機会をぜひご活用ください。
専門家とも連携しながら、皆さんの事業内容や実情に合わせて、無理なく取り組める計画づくりを一緒に進めていきましょう。申請のスケジュール管理も含めて、丸ごと私たちにご相談ください。
今回は、皆さんの事業を守るための「事業継続力強化計画」について、少し踏み込んでお話ししました。
自然災害は、いつ起こるか分かりません。だからこそ、「いつかやろう」ではなく、「今から」備えることが大切です。私たち商工会は、皆さんが安心してこの町で商売を続けていけるよう、これからも全力でサポートしていきます。
どうぞ、お気軽に串本町商工会(電話番号: 0735-62-0044)までご相談くださいね。