• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

「うちのような小さな店、誰かに売れるような価値なんてないよ」
「借金もあるし、廃業するときはタダ同然で畳むしかない」

窓口でお話ししていると、多くの経営者様からそんな弱気な言葉が返ってきます。でも、本当にそうでしょうか?

あなたが何十年もかけて築き上げてきた、お客様との「信頼」や「味」、「技術」。これらは、決算書の数字には表れない立派な「財産」です。ここを正しく評価せずに引退してしまうのは、あまりにももったいないことなのです。

会社の価値を知ることは、あなたの長年の頑張りを「数字」として認め、次世代へ胸を張ってバトンを渡すための第一歩です。

この記事では、難しくなりがちな「会社の値段(企業価値)」の決まり方を、「古い家屋の価値」に例えて分かりやすく解説します。さらに、個人事業主の方が陥りやすい「手続きの落とし穴」や、「今すぐ動かないと損をする期限」についても触れています。

「自分の店はいくらになるんだろう?」その疑問を解消することは、ご家族への負担を減らし、ハッピーリタイアを迎えるための近道。ぜひ最後まで読んで、あなたのお店の「本当の価値」を見直してみてください。

◆事業承継に関する情報は和歌山県事業承継・引き継ぎ支援センターの公式サイトを御覧ください

「自分はまだ引退なんて先の話だ」「うちは借金もあるし、売れるような立派な会社じゃないよ」

そう思われている方も多いでしょう。しかし、会社の価値(企業価値)を知ることは、単に会社を誰かに「売る」ためだけに行うのではありません。実は、ご家族に事業を継ぐ場合にも、避けては通れない「税金」や「家族の絆」を守るための大切な準備なのです。

結論から申し上げますと、会社の価値を客観的に知っておくことは、「無用なトラブルを防ぎ、円滑なバトンタッチを行うための命綱」になります。

例えば、建設業や製造業などで長年事業を続けてこられた会社によくあるケースを考えてみましょう。

社長ご自身は「機械も設備も古いし、会社に資産価値なんてない」と思い込んでいても、創業時に取得した土地の価格上昇や、長年の利益の積み重ね(内部留保)により、自社株の評価額が驚くほど高くなっていることが実は多いのです。

この事実を知らずに進めると、後継者に多額の贈与税がかかったり、他のご兄弟から遺留分を主張されたりと、思わぬ家族間トラブルに発展してしまいます。また、第三者への承継(M&A)を考える場合、事前に法務・財務などの観点から会社を磨き上げておくことで、より良い買い手が見つかり、売却価格が上がる可能性も十分にあります。

公認会計士や税理士などの専門家に依頼して客観的な評価(バリュエーション)を行っておくことは、トラブルの種を摘み取り、安心して引退するための保険のようなものなのです。

「会社の値段を計算する」と言われると、複雑な数式が出てきそうで身構えてしまいますよね。経営者の皆さんには、その「考え方の基本」だけ知っておいていただきたいと思います。会社の価値は、大きく分けて3つの視点(アプローチ)を組み合わせて判断されます。

これをイメージしやすいように、「古い家屋の価値を見積もる」ことに例えてみましょう。

「この家を今解体して、木材や土地を売ったらいくらになるか?」という考え方です。会社で言えば、現在の「資産」から「負債」を引いた純粋な財産(純資産)の額を見ます。

※この際、単に帳簿上の数字を見るのではなく、回収できないツケや古くなって売れない在庫などを調整した「時価」で評価するのが一般的です。

「この家を人に貸したら、将来どれくらいの家賃収入を生むか?」という視点です。会社が将来生み出す「利益」を予測して価値に換算します。独自の技術やブランドがある場合、資産額以上に高く評価されることがあります。

「近所で似たような家がいくらで売れたか?」を参考にする方法です。類似する企業の株価やM&A取引事例と比較して推測します。

このように、会社の値段は「過去(資産)」「未来(利益)」「市場(相場)」の3つで決まります。「うちは赤字だから」と諦めず、多角的に価値を見ることが大切です。

「私は法人じゃなくて個人事業だから、株価なんて関係ないよ」と思われている方。実は個人事業主の方こそ、注意すべきポイントがあります。

個人事業の承継、特に第三者へお店を譲る場合、「のれん(営業権)」という目に見えない価値が重要になります。

調理器具などの形ある資産価値が少なくても、「50年続く秘伝のタレ」「常連客リスト」「地域での評判」といった超過収益力があれば、それは立派な資産として売買価格に上乗せされます。あなたの築き上げた「信用」には、値段がつくのです。

ここが非常に重要です。個人事業には法人のような「人格」の継続性がありません。そのため、実務上は「先代の廃業」と「後継者の新規開業」という手続きになります。

許認可は引き継げない?

建設業、飲食業、運送業などの許認可は、原則として自動的に引き継がれません。後継者がイチから再申請する必要があります。この期間を計算に入れておかないと、営業できない「空白期間」ができてしまいます。

廃業届は1ヶ月以内に

先代経営者は、廃業日から原則1ヶ月以内に税務署へ廃業届を出す必要があります。

税金の特例(個人版事業承継税制)

要件を満たせば、土地・建物・機械などの「特定事業用資産」にかかる贈与税・相続税が100%納税猶予される強力な制度があります。これを使わない手はありません。

※ただし、前述の「のれん」自体はこの税制の対象外となるなど、少し複雑なルールがあります。個別のケースについては必ず専門家にご相談ください。

事業承継には、「いつか」ではなく「今」考えなければならない明確な理由があります。それは、国が用意しているお得な制度に期限があるからです。

特に法人の方ですが、税金が実質ゼロになる「事業承継税制(特例措置)」を受けるためには、令和8年(2026年)3月31日までに「特例承継計画」を県に提出しなければなりません。

「まだ先だ」と思っていると、あっという間に期限が来ます。また、この制度の雇用維持要件(承継後5年間、従業員の8割を維持)も、現在は実質的に弾力化されており、万が一達成できなくても理由を報告すれば認定が継続されるようになっています。使いやすくなった今がチャンスです。

M&Aや事業承継を機に新しい設備を入れたり、店舗を改装したりする場合に使える「事業承継・引継ぎ補助金」

実は、私たちのような小規模事業者の場合、経営革新枠などの補助率が通常の1/2から2/3へ引き上げられる可能性があります。

さらに、この補助金は専門家への費用にも使えます。

M&Aの仲介手数料や、会社の価値を計算してもらうための専門家費用(デューデリジェンス費用など)も補助対象(最大600万円など)になります。「専門家に頼むとお金がかかる」と心配な方も、この制度を使えば負担を大幅に減らせます。

ここまで読んで、「難しそうだな」「何から始めればいいんだろう」と思われた方もご安心ください。

串本町商工会では、毎月第1木曜日に専門家による「経営特別相談会」を開催しています。この相談会の最大の特徴は、以下の専門機関が集まり、ワンストップで支援を受けられることです。

「あちこちの役所に電話するのは大変」という方も、ここに来れば一度に様々な窓口へ相談が可能です。「まだ具体的ではないけれど、話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎ですので、ぜひお気軽にご利用ください。

あなたの会社やお店は、串本町の宝物です。「もう歳だから」「価値がないから」と諦めてしまう前に、ぜひ一度、商工会へお話しに来てください。あなたの築き上げた大切なバトンを、未来へ繋ぐお手伝いができることを楽しみにしています。

◆HP記事:【12月4日(木)】お困り事!ワンストップ支援!経営特別相談会のお知らせ/広域商工会東牟婁協議会


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