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中小企業庁が発表した2024年版中小企業白書・小規模企業白書の参考事例集から、小規模事業者の皆様に参考になりそうな事例をいくつかご紹介します。

コロナ禍で厳しい経営環境に置かれた観光業界。そんな中、群馬県渋川市の老舗旅館「ホテル松本楼」は、事業の多角化とデジタル技術の活用により、見事に業績回復を果たしました。パン店の立ち上げやタブレット導入など、柔軟な発想で難局を乗り越えた同社の取り組みは、withコロナ時代を生き抜く観光業の在り方を示唆しています。

岐阜県岐阜市の「珈琲ゆるりん」は、よろず支援拠点の助言を受けながら、40~50歳代女性をターゲットに設定。看板やメニューの刷新など、小さな改善を積み重ねた結果、コロナ禍でも売上増加を達成しました。顧客目線に立った地道な経営改善が、小規模事業者の生き残りと発展につながることを示す好事例と言えるでしょう。

2024年の運転手の時間外労働規制を見据え、運送会社の有限会社黒潮重機興業が独自の運行管理システムを開発。デジタル技術の活用で業務効率化と労働環境改善を両立し、将来の環境変化に先手を打った同社の取り組みは、他業種の企業にも参考になります。

創業107年の老舗味噌店「山本味噌醸造場」は、47歳の若き当主の決断で第三者承継を実現。支援機関の活用やM&Aプラットフォームの登録など、円滑な事業承継のポイントが詰まった事例です。伝統を守りつつ革新を取り入れる姿勢も、後継者問題に悩む中小企業に示唆を与えてくれます。

ぜひ、以下の事例から参考になりそうな部分を探してみてくださいね。

★2024年版中小企業白書・小規模企業白書 参考事例集(案)

群馬県渋川市の株式会社ホテル松本楼は、コロナ禍での需要変化に対応するため、事業再構築補助金を活用してパン店「伊香保ベーカリー」を立ち上げました。また、全客室へのタブレット導入で顧客満足度向上にも取り組みました。事業の多角化が功を奏し、現在では総売上高がコロナ前の水準まで回復しています。

株式会社ホテル松本楼の事例から学べる主なポイントは以下の通りです。

事業の多角化による需要変化への対応

コロナ禍で生じた需要変化に対応するため、事業再構築補助金を活用してパン店「伊香保ベーカリー」を立ち上げました。事業の多角化が業績回復につながった好例と言えます。

デジタル技術の活用による顧客満足度と業務効率の向上

全客室へのタブレット導入により、個人向けサービスの強化と従業員の負担軽減を同時に実現しました。デジタル技術を活用することで、顧客満足度と業務効率化の両立が可能になります。

休業期間中の従業員の雇用維持と教育

コロナによる休業期間中も、従業員の解雇や休職・減給は行わず、多様な勉強会を実施して接客スキル向上に注力しました。難局の中でも従業員を大切にする姿勢が、事業再開後の円滑な運営につながったと考えられます。

地域資源を活かした観光業の展開

伊香保温泉という立地を活かし、地域初のパン店出店や犬同伴宿泊施設の開業など、地域資源を活用した多角的な観光業を展開しています。地域の特性を活かすことが差別化につながります。

ホテル松本楼の事例は、環境変化への機敏な対応と、デジタル技術の活用、従業員への投資、地域資源の活用など、ウィズコロナ・アフターコロナ時代の観光業の在り方を示唆に富んでいます。柔軟な発想で事業の可能性を広げていく姿勢が、小規模企業の生き残りと成長につながると言えるでしょう。

★ホテル松本楼HP:https://www.matsumotoro.com/
★伊香保ベーカリーHP: https://www.matsumotoro.com/facilities/facilities4.php

岐阜県岐阜市の珈琲ゆるりんは、よろず支援拠点の支援を受けながら40~50歳代女性をターゲットに設定。メニュー拡充や看板・食器の刷新等を行った結果、ターゲット層の取り込みに成功し、コロナ禍でも売上増加を達成しました。

珈琲ゆるりんの取り組みから学べるポイントは以下の通りです。

現状把握とターゲット設定の重要性

よろず支援拠点の支援を受けながら、まず既存客の実態を調査し現状を正確に把握しました。その上で、新たなターゲット層として40~50歳代女性を明確に設定しました。自社の強みを活かせる顧客層を見極めることが大切だと言えます。

ターゲットに合わせた商品・サービスの改善

設定したターゲット層のニーズを想定し、メニューの拡充、看板のデザイン変更、食器の刷新等を行いました。ターゲットとする客層の好みに合わせて、商品やサービスを改善していくことが集客力アップにつながります。

小さな改善の積み重ねが成果につながる

メニュー、看板、食器など、一つ一つは小さな改善ですが、それらを着実に積み重ねた結果、ターゲット層の取り込みに成功し、売上増加を達成できました。小さくても顧客目線の改善を継続することが重要だと分かります。

専門家の支援を活用する

よろず支援拠点の支援を受けながら現状把握とターゲット設定を行いました。社外の専門家の知見を取り入れることで、自社だけでは気づきにくい課題や方向性が見えてきます。適切な支援機関を活用することが有効です。

珈琲ゆるりんの事例は、小規模事業者が顧客ニーズを捉えた経営改善によって業績を向上させるためのヒントに富んでいます。自社の強みを再認識し、顧客目線で着実に改善を積み重ねていくことが、小規模事業者の生き残りと発展につながるでしょう。

★喫茶ゆるりんInstagram: https://www.instagram.com/yururin5717/

宮城県多賀城市の有限会社黒潮重機興業は、2024年問題への対応を見据え、独自の運行管理システム「KRSION」を開発・導入。配車効率向上や業務の一元化により、受注増と残業時間削減・人材定着を同時に実現しました。

有限会社黒潮重機興業の取り組みから学べるポイントは以下の通りです。

将来の課題を見据えた先手の対策

2024年4月の運転手の時間外労働上限規制適用による人手不足の深刻化を「2024年問題」と捉え、その対応を見据えて独自の運行管理システム「KRSION」を開発・導入しました。将来予見される課題に対して、早めに対策を打つことが重要だと言えます。

デジタル技術を活用した業務効率化

全運転手にタブレットを配布し、GPSによる現在地確認や運行状況、搬送先の詳細情報の共有をリアルタイムで可能にしました。デジタル技術を導入することで、配車効率の向上や業務の一元化を実現しています。

受注増と労働環境改善の両立

システム導入により、大手顧客からの受注増加と残業時間削減・人材確保を同時に達成しました。業務効率化によって受注を増やしつつ、従業員の労働環境改善も図ることが可能になります。

自社の強みを外販へ展開

同社が開発したシステムを、2024年には同業他社向けに外販することを予定しています。自社の課題解決のために開発したシステムを、同じ課題を抱える他社に提供することで新たな収益源にもつなげています。

黒潮重機興業の事例は、将来の環境変化を予測して先手を打つことの重要性と、デジタル技術の活用による業務効率化と労働環境改善の同時実現について示唆に富んでいます。運送業に限らず、他の業種の企業にも参考になるでしょう。

★㈲黒潮重機興業HP: https://kuroshio9640.co.jp/

新潟県上越市の株式会社山本味噌醸造場は、事業承継に不安を感じた山本幹雄氏が47歳の時に第三者承継を決意。商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、M&A総合支援プラットフォーム「BATONZ」に登録。約1年後に株式会社PEAKSとのM&Aが成約し、両社の強みを生かしながら地域の伝統の継続を目指しています。

株式会社山本味噌醸造場の事例から学べるポイントは以下の通りです。

事業承継の早期決断と準備の重要性

山本幹雄氏は47歳の比較的早い段階で事業承継を決意し、準備に着手しました。親族の高齢化や後継者不在といった状況を見据え、早めに動き出すことが円滑な承継につながります。

支援機関の活用とマッチングプラットフォームの有効性

事業承継に向けて、まず地元の商工会議所に相談し、その後新潟県事業承継・引継ぎ支援センターの支援を受けました。さらにM&A総合支援プラットフォーム「BATONZ」への登録によって、全国から候補先を探すことができました。支援機関の活用とマッチングプラットフォームへの登録が、最適な承継先探しに役立ちます。

両者の意向のすり合わせと強みの融合

山本氏は地域に密着した事業継続にこだわりを持ち、金崎社長は製造業の経営基盤確立を求めていました。両者の意向が合致したことで、スムーズな承継が実現しました。承継後は、山本味噌醸造場の専門性とPEAKSの新商品開発力を掛け合わせ、伝統の継続と革新を目指しています。両社の強みを生かした融合が、承継後の発展につながります。

地域の伝統を守りつつ革新を取り入れる姿勢

創業107年の老舗味噌店として、地域の伝統の味を守り続けることを大切にしつつ、新しい商品や販売手法の導入にも取り組んでいます。伝統と革新のバランスを取ることが、長年愛された地域ブランドを次の世代につないでいくために重要だと言えます。

山本味噌醸造場の事例は、親族外承継やM&Aによる事業承継の進め方、支援機関の活用法、伝統と革新の融合など、多くの示唆に富んでいます。後継者問題を抱える中小企業・小規模事業者にとって参考になるでしょう。

★㈱山本味噌醸造場: http://yukinkomiso.jp/

中小企業庁が発表した2024年版中小企業白書・小規模企業白書の参考事例集から、小規模事業者の皆様に参考になりそうな事例をいくつかご紹介しました。

事業の多角化や、デジタル技術の活用、従業員への投資、地域資源の活用など、コロナ禍という逆境を乗り越えるためのヒントが数多く含まれています。また、事業承継やM&Aといった課題への対応事例も紹介されており、支援機関の活用など参考になるポイントが多数あります。

さらに、支援機関の支援能力向上の取り組みや、地域経済に重要な役割を果たす書店の事例なども取り上げられており、地域の支援体制づくりや地域産業の活性化を考える上でも示唆に富んでいます。

小規模事業者が直面する課題は様々ですが、ここで紹介した企業の皆さんは前向きな姿勢で乗り越えようとしています。串本町商工会としても、こうした意欲ある事業者の皆様の取組を全力でサポートしてまいります。事業承継やDX等でお悩みの際は、ぜひ当会までご相談ください。


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