スペースワン社は、前回の原因究明も完了し、令和6年12月をめどに2号機を打ち上げできる方向で準備しています。打ち上げの2か月前、10月のどこかで公表できるようにしたいとのことです。将来的には年間20回という打ち上げ回数を目指しています。
宇宙産業は今後どのように拡大していくのか、今後の串本町の発展のためにどう取り込めばよいのか、また、串本町の基幹産業である観光業との共存について考えてみます。
市場規模拡大に向けての取り組み
日本政府は、国内の衛星打ち上げ需要の高まりに対応するため、2027年度までの軌道上実証を目標に民間企業のロケット開発を支援する総額350億円の事業を開始しました。
文部科学省分の中小企業イノベーション創出推進事業の宇宙分野のテーマ「民間ロケットの開発・実証」に4件が採択されています。
文部科学省 中小企業イノベーション創出事業(SBIRフェーズ3)宇宙分野の公募選定結果
宇宙輸送を取り巻く環境認識と将来像(2023年6月27日 内閣府宇宙開発戦略推進事務局)によると
2022年に軌道に打ち上げられた人工衛星等の数は過去最大の2,386機であり、過去10年で約11倍に増加しています。
増加の中心を占めるのは商業衛星で、商業衛星の打ち上げは、今後も通信衛星等で更なる増加が見込まれています。
宇宙安全保障や通信、地球観測、宇宙科学等の日本の宇宙開発利用の将来像を、将来にわたって自立して実現していくためには、活動に必要な人工衛星等を他国に依存することなく、我が国から打ち上げることが必要であるとのことです。
宇宙輸送の需要が高まっていく中、他国に依存しない宇宙へのアクセス権を確保し、将来にわたって自立的な宇宙活動を実現していくようです。
以上からも産業として発展する可能性は非常に大きく、串本町で宇宙産業に関わる機会が増えれば雇用の機会や域内消費が拡大します。同時に「ロケット射場」という他地域にはほとんどない新たな観光資源ができることになります。宇宙産業と観光産業の両輪は町の活性化を牽引していくと考えられます。
串本古座高等学校に「宇宙探求コース」が設置され、宇宙関連企業や大学等の研究機関と連係した探求的な学びを行っています。串本町は宇宙産業化に向けた条件が揃っています。
ぜひともわが町へ大学や研究機関を誘致したいものです。そうすれば串本町から優秀なエンジニアを送り出せるようになり、雇用の機会につながります。
年間20回の打ち上げが可能になれば、ロケット関連の従業員が年間を通じて串本町に住むことになります。「住みやすい町串本」をどうアピールしていくかが課題です。
お店の営業日、営業時間などの見直しや、余暇の過ごし方を提案することも大切です。
ロケット射場は吉野熊野国立公園内にあり、その周辺は見どころが多く、その地域独特の文化伝統が息づいています。それぞれの資源が単独ではなく、融合して年中賑わいのある観光地に育てていくべきです。
熊野の地には現在二つの「宇宙」があります。一つは「Space」, もう一つは「Cosmos」です。「Space」は主に「大気圏外の宇宙空間」、「Cosmos」は「秩序ある調和のとれた宇宙」を意味します。最新技術と地域の伝統文化の融合で串本町をブランド化したいものです。
和歌山県、串本町が進める宇宙産業構想に合った大学や企業、スタートアップ企業の誘致に力を入れ、企業や大学との連携を構築し、将来のイメージがはっきり見える形にし、串本町の価値を高めていくことが考えられます。
南方熊楠はこの熊野の自然に南方曼荼羅と言われる宇宙を見ていたと言われています。熊楠の研究は自然界のあらゆる要素が相互に関連し合っているという視点から行われており、まさにこの地域の目指すべき観光の心があると思います。
古来「蟻の熊野詣」と言われるように遠方からでもこの熊野を目指したような価値を創造すべきです。串本町には熊野古道「大辺路街道」、「南紀熊野ジオパーク」等があり、当地域にある資源として点としてだけではなく、面として切り取って広域で活用することも考えられます。この機会に新たな方向性を検討することも必要でしょう。
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