令和7年度の税制改正の内容が発表されました。今回の改正では、物価上昇への対応や中小企業支援の継続など、事業者の皆様や従業員の方々に直接関わる重要な変更が含まれています。
この記事では、串本町の事業者の皆様に特に関係の深い改正内容を分かりやすくご説明します。具体的には、以下のような内容について、実例を交えながら解説していきます。
特に、観光業や小売業を営む事業者の方々にとって関心の高い、パートタイム従業員の収入に関する改正は、実務に大きく影響する可能性があります。
なお、この記事でご紹介する内容は、令和7年(2025年)から実施される予定です。具体的な対応については、税理士等の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。
◆令和7年度の税制改正大綱についてはコチラを御覧ください
次の項目から、それぞれの改正内容について詳しくご説明していきます。
パート従業員の方の収入に関する大きな変更点として、いわゆる「103万円の壁」が緩和されることになりました。具体的には、以下のような変更が予定されています。
《具体例で見る影響》 例えば、パートで働く従業員の方が年収150万円の場合:
19歳から22歳までの大学生等のアルバイト収入についても、新しい制度が導入されます。
この改正により、観光業や飲食業など、学生アルバイトを多く雇用している事業者の皆様は、より柔軟な勤務時間の設定が可能になると考えられます。
これらの改正は、給与計算や源泉徴収事務にも影響があります。改正に備えて、以下の点についてご確認ください。
なお、これらの改正内容の詳細や具体的な実務対応については、今後さらに詳しい情報が公表される予定です。税理士等の専門家に相談し、適切に対応することをお勧めします。
生産性向上のための設備投資を支援する「中小企業経営強化税制」が、内容を拡充して2年延長されることになりました。
《活用例》 串本町の観光宿泊施設が客室を改装する場合:
生産性向上のための設備投資を行う場合、固定資産税が軽減される特例も延長されます。
これらの制度は、コロナ禍からの回復期における事業の拡大や、生産性向上のための設備投資を検討されている事業者の皆様にとって、有効な支援策となります。
実際の活用に際しては、事前の計画策定や申請手続きが必要となりますので、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
中小企業向けの法人税の軽減措置が2年間延長されることになりました。ただし、今回の改正では一部の企業で税率が変更となりますので、ご注意ください。
■法人税の軽減税率とは?
中小企業の年間所得のうち、800万円以下の部分について通常の法人税率(23.2%)より低い税率が適用される制度です。
《軽減税率の内容》
■具体的な計算例
【例1】年間所得が600万円の場合
【例2】年間所得が1,000万円の場合
※これらの税額は法人税のみの計算例です。実際には事業税や住民税なども合わせて納付する必要があります。
■適用対象となる法人
以下の法人が対象となります:
■注意点
制度の詳細や、ご自身の会社が対象となるかについては、税理士等の専門家にご確認いただくことをお勧めします。
事業の後継者への引継ぎをより行いやすくするため、事業承継税制の要件が緩和されることになりました。
■事業承継税制の要件緩和のポイント
《これまでの要件》
《改正後》
■この改正のメリット
■活用を検討すべき事例
以下のような事業者の方は、特に検討をお勧めします:
■留意点
事業承継は会社の将来を左右する重要な局面です。この機会に、御社の事業承継計画を見直してみてはいかがでしょうか。
令和5年10月から開始されたインボイス制度について、今回の税制改正では特段の変更点は盛り込まれませんでした。ここでは、改めて重要なポイントを確認させていただきます。
■現在の対応状況確認
■今後の対応ポイント
■特に注意が必要な事業者
これらの方々は、取引先との関係で登録を求められるケースが多いため、早めの確認・対応をお勧めします。
■今後の予定
令和5年10月の導入から令和11年9月までは、免税事業者等からの仕入れについて、一定の経過措置が設けられています。ただし、段階的に控除率は引き下げられていきますので、計画的な対応が必要です。
※インボイス制度への対応は、事業の形態や取引先との関係によって異なります。不明な点がありましたら、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
令和7年度の税制改正では、特に以下の点について、串本町の事業者の皆様に関係の深い改正が行われます。
■給与所得者の収入に関する改正
■設備投資支援の継続・拡充
■事業承継の要件緩和
後継者の役員就任要件が緩和され、より柔軟な事業承継の計画が可能になります。
今回の改正の多くは、令和7年(2025年)から実施される予定です。実際の対応に当たっては、改正の詳細が政省令等で定められることになりますので、税理士等の専門家に相談しながら準備を進めることをお勧めします。
また今後、各制度の具体的な手続きや必要書類等について、国税庁等から詳しい情報が公表される予定です。 人口減少や観光客の動向など、地域経済を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いていますが、これらの支援制度を上手に活用することで、事業の発展につなげていただければと思います。