2024年12月24日、和歌山市で和歌山県主催の「第1回和歌山県脱炭素経営スクール」に参加しました。なぜこの時期に開催なのかと思い調べたところ、2015年に採択された温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」で5年に一度見直すことになっていて、各国は2025年2月までに新目標の国連への提出が義務付けられていることが分かりました。
審議の後発表される内容は、「世界全体での1.5℃目標及び2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路と整合的で野心的な目標として、2035年度、2040年度に、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。」とあります(P13 17,18,19行)。
また、地方公共団体の基本的役割(P27~P29)、「事業者」基本的役割(P29~P31)も盛り込まれています。私たちの事業所、私たち個人に何ができるのかを考えてみます。
◆中央境審議会地球環境部会2050年ネット・ゼロ実現に向けた気候変動対策検討小委員会 地球温暖化対策計画(案)2024.12.24第9回
目次
気候変動対策(≒)の視点を織り込んだ企業経営のことです。
従来、企業の気候変動対策はCSR(企業の社会的責任)の一環として行われることが多かったのですが、近年では、気候変動対策を自社の経営上の問題としてとらえ、全社を挙げて取り組む企業が大企業を中心に増加しています。
昨今サプライチェーン全体に向けて脱炭素への取り組みを要請する動きが広まっています。
課徴金制度化などに伴い、今後中小企業にとっても脱炭素化への取り組みが、事業を継続するために必要になってきます。
◆脱炭素経営とは(グリーン・バリューチェーンプラットフォームから)
地球温暖化や気候変動の主要な原因とされる温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO₂)の排出をゼロにすることです。
地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量を中立させることで、排出量を実質ゼロにすることです。
近年、国内外で様々な異常気象による災害が発生してことは既にご承知だと思います。
私たちの地域でも豪雨や猛暑、高潮などの災害が多発していて、今後さらに農林水産業、自然生態系、健康、産業・経済活動等への影響が出ることも指摘されています。
◆今なぜカーボンニュートラルニュートラルを目指すのか
◆大雨や猛暑日などのこれまでの変化:気象庁
◆漁場環境をめぐる動き:水産庁
◆令和5年地球温暖化影響調査レポート:農林水産省
この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。
世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに(2℃目標)、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)
今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
2020年10月、政府は2030年における二酸化炭素の削減目標を2013年度比-46%、
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。
福島第一原発事故で原発が停止し、その穴を埋めたのが石炭火力でした。ですので、2011年を契機に、CO2の排出が増えた格好になっています。つまり、日本の場合、減らすとなったときの基準年は2013年が一番いいわけ(下げ幅が大きくとれる)です。
現在の温室効果ガスの排出量だと吸収・除去量とが均衡には程遠いため「削減」が必要です。
それに向かった活動のことをGX(グリーントランスフォーメーション)といいます。
経済産業省はGX(グリーントランスフォーメーション)推進やエネルギーの脱炭素化に向けて1兆円超を計上し、環境省はサーキュラーエコノミー(循環経済)推進に向け使用済み製品のリサイクル設備やバイオマスなど再生可能な資源を活用した素材の製造設備の導入支援に40億円以上を充てる計画です。
◆令和7年度予算政府案
◆令和7年度予算のポイント 経済産業、環境、司法・警察関係予算/概要
事業の持続的発展のためには必要な取り組みであることを認識することが大切です。
先ずはカーボンニュートラルに係る自社の課題を発見し、課題の解決にできることがあるかを確認してみましょう。
事業所は社会的存在であり、そこで働く従業員は社会的責任を自覚して働き地域に貢献する義務があります。事業主だけでなく皆で意識するようにしましょう。知らないでは済まない時代になってきました。
温室効果ガス排出量=活動量×排出係数で計算できます。毎月の電気使用量、ガソリン使用量などから計算できます。以下を参照してください。
正直、削減は難しいです。「省エネルギー診断」の活用で専門家から削減策のアドバイスを順序立てて受けることができます。
物価、エネルギーの高騰という経営環境の中、設備投資するのは大変です。補助金の活用を検討したいものです。それには事業計画を立てブラッシュアップする経営努力が求められます。
なお、「令和6年度補正省エネルギー投資促進支援費補助金」については執行団体の公募を行っています。
小規模事業者等が経営計画を自ら策定し、商工会の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援します。17回公募の詳細はまだ発表されていません。補助金事務局の決定後、掲載するとのことです。販路開拓等を支援する補助金なので、省エネがどう販路開拓につながるのかを丁寧に説明する必要があります。
例えば受発注を効率よく行うだけでも、運送に係る燃料代などを削減できる可能性があります。日々の業務手順を見直し、身近なところから始めてみるのも一つの方法です。
日々の行動を見直し、できるところから始めることが大切です。例えばごみの分別など身近なところから取り組むことが必要です。
私たち国民一人一人の行動に大きく左右されることを理解し行動することが大切です。
上記の令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージには家庭で利用できる補助金もあるようです。
他人事ではなく自分自身の問題として捉えましょう。
皆でできることを話し合いましょう。そして出来ることからすぐに始めましょう。
難しいな、ややこしいな、でもやらなければと思っている人は商工会まで連絡を下さい。 一緒に考えて行きましょう。