• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

「安全対策は大切とわかっていても、小規模な現場ではなかなか手が回らない…」と感じていませんか?建設現場での労働災害は、事業継続の大きな脅威となるだけでなく、現場で働く大切な人材の命や健康を危険にさらします。特に小規模事業者が多い串本町では、限られた人員と予算の中で効果的な安全対策を実施することが大きな課題となっています。

先日、和歌山労働局から「令和7年度における建設業の安全衛生対策の推進について」という通達が出されました。この中では、建設業における労働災害防止のための重要な取り組みが示されています。和歌山県内の建設業における死亡者数は5人と全産業の半数を占めており、建設業における労働災害の被災者の約9割は社員数30人未満の企業に属しているという深刻な事実も報告されています。

本記事では、この労働局通達の内容を踏まえ、串本町の建設業者の皆様に向けて、小規模事業者でも無理なく実践できる労働災害防止対策を具体的な成功事例とともにご紹介します。

この記事を読むことで、1)墜落・転落災害を効果的に防止する方法、2)熱中症予防のための具体的な職場環境改善策、3)高齢労働者や外国人労働者の安全を確保するための実践的なノウハウを学ぶことができます。

安全対策は単なるコスト要因ではなく、経営力向上のための投資です。この記事で紹介する対策を一つでも取り入れることで、労働災害のリスクを低減し、従業員が安心して働ける職場環境を築いていきましょう。

建設現場の安全確保は、事業を継続する上での最重要課題です。特に人手不足が深刻な串本町では、一人ひとりの安全を守ることが何より大切です。今回は、小規模事業者でも無理なく実践できる労働災害防止対策をご紹介します。

昨年の建設業における和歌山県内の災害発生状況を見ると、死亡者数は5人となっており、全産業の半数を占めている状況です。これは非常に憂慮すべき事態と言えるでしょう。

また、休業4日以上の災害(令和7年2月末速報)については102人で、前年より8人減少しているものの、依然として高い水準にあります。少しずつ改善は見られますが、さらなる対策が必要です。

串本町を含む和歌山県全体でも、建設業の安全対策はまだまだ強化すべき課題となっています。

建設業における労働災害の被災者の約9割は、社員数30人未満の企業に属しているという事実をご存知でしょうか。この数字は、小規模建設業者における対策推進の重要性を示しています。

串本町の多くの建設業者も小規模経営ですから、限られた人員と予算の中で効果的な安全対策を講じる必要があります。特に繁忙期には安全確認が疎かになりがちですので、普段からの意識付けが大切です。

建設現場で最も注意すべき災害は何でしょうか?統計によると、墜落・転落災害が最も多く、次いではさまれ・巻き込まれ災害、重機による事故などが上位を占めています。

和歌山県でも同様の傾向があり、特に高所作業が多い建設現場では墜落・転落防止対策が急務となっています。また、夏場の熱中症や粉じんによる健康障害も見逃せない問題です。

◆参考:墜落・転落災害撲滅に向けた取組み

建設業労働災害防止協会では墜落・転落災害防止に関する様々な情報を提供しています。

墜落・転落災害を防ぐためには、まず適切な作業床の設置が基本です。足場を設ける際は、手すりや中さん、幅木を正しく設置しましょう。

特に効果的なのが「手すり先行工法」の導入です。これは足場を組む際、まず手すりを先に設置することで、作業者の安全を確保する工法です。実際に和歌山県内の建設現場でこの工法を導入した例では、足場組立作業における安全性が向上し、高齢の作業員も安心して作業できるようになったという報告があります。

次に大切なのが、日常点検です。作業開始前に足場の状態を必ず確認する習慣をつけましょう。ぐらつきや部材の欠損がないか、連結部はしっかり固定されているかなど、確認すべきポイントを明確にしておくことが重要です。

意外と見落とされがちなのが、はしごや脚立からの墜落です。統計によると、建設業における墜落・転落による死傷者のうち、はしご・脚立からの墜落は約3割と最も多くなっています。

木造家屋等低層住宅建築工事における墜落・転落災害防止標準マニュアル」に基づく対策を実施しましょう。例えば、はしごを使用する際には「はしご固定具」を活用することで、不安定な足場での転倒災害を防止できます。ある建設現場ではこの対策により転落事故発生率が60%減少したという事例もあります。

脚立を使う際は、必ず開き止めを確実にロックする基本動作を徹底することが大切です。この単純なルールを職場で徹底した結果、脚立からの転落災害が大幅に減少した実例もあります。

リーフレット「はしごを使う前に/脚立を使う前に」を活用して、作業員への周知も図りましょう。可能な限り昇降設備の設置や高所作業車の使用なども検討してください。

◆リーフレット:「はしごを使う前に/脚立を使う前に」

「うちは小さな現場だから…」とあきらめる必要はありません。小規模現場でも実施できる簡易的な対策はたくさんあります。

例えば、墜落制止用器具(安全帯)の正しい着用と使用方法の徹底は、コストをかけずに実施できる効果的な対策です。また、作業前の短時間ミーティングで、その日の危険ポイントを全員で確認する習慣も重要です。

串本町の小規模建設業者の皆さんにぜひ実践していただきたいのが、「指差し呼称」です。作業前に危険箇所を指差して声に出して確認することで、安全意識が高まります。

串本町も夏場になると気温が上昇し、熱中症のリスクが高まります。今から準備を始めて、暑い季節に備えましょう。

まず取り組みたいのが作業環境の改善です。ある建設現場では、大型の日よけテントと送風機を設置し、直射日光を避けながら風通しを確保したところ、熱中症発生率が40%減少したという事例があります。

また、WBGT値(暑さ指数)を測定する機器を導入し、現場の暑熱環境を客観的に把握することも効果的です。実際にこの機器を配備してリアルタイムで熱中症リスクを把握・共有した企業では、熱中症による休業災害が発生しなくなったという報告もあります。

STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」の取り組みも参考にしながら、職場環境を見直してみてはいかがでしょうか。

熱中症を防ぐには、作業員の健康管理と熱中症の兆候を早期に発見する仕組みづくりが欠かせません。作業開始前の健康チェックを徹底し、体調不良者には無理をさせないようにしましょう。

効果的な取り組みの一例として、夏季の高温時間帯(13:00~15:00)を休憩時間に設定し、早朝と夕方に作業を集中させることで熱中症発生ゼロを達成した建設会社の事例があります。このような作業スケジュールの工夫は、特に小規模現場では取り入れやすい対策です。

また、熱中症の発症を早期に発見するために、「報告体制」「対応手順」「従業員への周知」を明確にしておくことが大切です。具体的な対応フローを作成し、現場に掲示しておくとよいでしょう。

厚生労働省:熱中症対策チェックリスト

夏場の暑さ対策は、屋外作業の多い建設業では特に重要です。作業スケジュールの工夫や、休憩場所の確保など、現場の状況に合わせた対策を講じましょう。

串本町を含む沿岸地域では、強風が多い日もあります。このような地域特性を考慮した対策として、高所作業時には風速計を設置し、作業中止基準を明確化することで、風による転落災害を防止できます。実際に、この対策を導入した現場では、強風による事故リスクを大幅に低減できたという報告があります。

また、串本町の木造建築現場では、台風対策として頑丈な足場設置と防水シート二重張りを標準化し、悪天候時の安全確保と作業効率向上を実現した例もあります。地域特性を理解し、それに合わせた対策を講じることが大切です。

串本町の建設業では、高齢の職人さんが活躍されている現場も多いと思います。ベテランの技術は貴重な財産ですが、年齢に応じた安全対策も必要です。

◆厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(概要)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html

「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)に基づいた対策を実施しましょう。高齢労働者に配慮した取り組みとして、段差のない作業通路の整備、手すりの設置、照明の明るさ改善などを実施した結果、転倒災害が減少した事例があります。

また、ベテラン作業員を若手への技術指導役と安全監視役に配置転換した企業では、経験を活かしながら肉体的負担を軽減し、技術伝承と安全管理の両立に成功しています。高齢者の経験を活かせる役割を担ってもらうことで、安全と生産性の両立が可能になります。

近年、建設業でも外国人労働者が増えています。言葉の壁を乗り越え、安全に働ける環境を整えることが重要です。

◆厚生労働省「外国人労働者向け多言語安全教育教材」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html

実践的な対応として、ピクトグラム(絵文字)や多言語で表示した安全標識を現場に掲示することで、言語の壁を超えた安全意識向上に成功した事例があります。また、イラストや写真を多用した作業手順書を作成し、言語に依存せずに安全作業のポイントを共有した結果、外国人労働者の労働災害が減少したという報告もあります。

外国人労働者が理解できる方法で安全教育を行うことが、災害防止の基本です。

安全教育は一度きりではなく、継続的に実施することが重要です。特に新人や経験の浅い作業員には、実践的な訓練を繰り返し行いましょう。

例えば、ヒヤリハット事例を共有する時間を定期的に設けることで、危険予知能力を高めることができます。また、ベテラン作業員に若手への指導役を担ってもらうことで、技術の伝承と安全意識の向上を同時に図れます。

安全教育に関する詳細は、厚生労働省や建設業労働災害防止協会のウェブサイトでも確認できます。

「安全対策にはコストがかかる…」とお考えの方も多いと思いますが、工夫次第で費用負担を抑えながら効果的な対策を実施できます。

建設業労働災害防止協会が提供する「ニューコスモス」や「中小事業者向けのコンパクトコスモス」は、小規模事業者でも取り組みやすい安全衛生管理システムです。実際に従業員10人の小規模建設会社がコンパクトコスモスを導入し、安全衛生目標設定と危険予知活動を計画的に実施した結果、3年連続で災害ゼロを達成した事例もあります。

また、日常的な取り組みとして、整理整頓の徹底や工具・設備の定期点検も事故防止に大きな効果があります。これらは特別なコストをかけなくても実施できる基本的な対策です。

地域の小規模事業者同士で安全パトロール相互点検の仕組みを構築し、「第三者の目」による現場改善で災害防止につなげた事例もあります。こうした地域連携も効果的な方法の一つです。

COHSMS(コスモス)のご案内

建設業の安全対策を推進するには、各種支援制度を積極的に活用することも大切です。

例えば、「高度安全機械等導入支援補助金」は、中小建設事業者等に向けた支援制度として紹介されています。このような補助金を活用することで、安全性の高い設備・機械の導入費用を軽減できる可能性があります。

より専門的なアドバイスが必要な場合は、和歌山労働局や労働基準監督署、建設業労働災害防止協会などの相談窓口を活用しましょう。

特に熱中症対策については、「産業保健総合支援センター」や「地域産業保健センター」での無料相談サービスも利用できます。

また、安全衛生管理の専門家による職場巡視や改善提案を受けることで、現場の安全レベルを大きく向上させることができます。ぜひ外部の目を入れて、客観的な評価を受けてみてはいかがでしょうか。

建設現場の安全対策は、単なるコスト要因ではなく、経営力向上のための投資です。統計によれば、労働災害が発生すると、直接的な損害だけでなく、信用低下や工期の遅れなど、経営に大きな打撃を与えることになります。

特に人材確保が難しい串本町では、従業員の安全と健康を守ることが、優秀な人材の確保・定着にもつながります。「この会社は安全に気を配ってくれる」と思われる職場づくりを心がけましょう。

今回ご紹介した対策は、成功事例に基づく実践的なものばかりです。まずは小さな一歩から、継続的に取り組んでいくことが大切です。「手すり先行工法」の導入、はしご固定具の活用、熱中症対策のための作業時間の見直し、外国人労働者向けの視覚的な安全表示など、できることから始めてみましょう。

安全に関するご相談は、お近くの商工会や労働基準監督署にお問い合わせください。ともに安全で活力ある建設業を築いていきましょう。


今すぐ電話