会員の皆様、日々の事業運営、誠にご苦労様です。
【重要】令和7年11月1日より、和歌山県の最低賃金が65円引き上げられ、1,045円となります。
この過去最大ともいえる引き上げは、多くの会員様にとって、人件費の増加に直結する、避けては通れない経営課題です。ただ事態を静観するのではなく、今から計画的な対応を準備することが、今後の事業の安定と成長の鍵を握ります。
「しかし、具体的にどう対策すれば…」とご不安に思われるかもしれません。
ご安心ください。国は、このような大きな変化に立ち向かう皆様を支えるため、強力な支援制度を用意しています。
それが、今回ご紹介する「業務改善助成金」です。この制度は、単なる資金援助ではありません。賃上げをきっかけとして、POSレジや新しい厨房機器などを導入し、会社の生産性そのものを向上させるための「攻めの投資」を後押しするものです。
本記事では、この最低賃金引き上げという課題を、いかにして事業成長のチャンスに変えるか、そのための具体的な手段として本助成金の活用法を分かりやすく解説いたします。
本記事が、皆様の事業の持続的発展の一助となれば幸いです。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
「業務改善助成金」は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げると同時に、生産性向上に資する設備投資などを行う中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する国の制度です。
簡単に申し上げますと、「①従業員の賃金引き上げ」と「②生産性を高めるための設備投資」を一体的に行う計画に対して、国がその投資費用を支援してくれる、という仕組みです。
今回の最低賃金引き上げのような局面において、会員様の賃上げに伴う負担を緩和し、これを企業の生産性向上、ひいては事業成長の機会としていただくために設けられています。
例えば、これまで手作業で行っていた業務を効率化するPOSレジを導入し、それによって生まれた時間をより付加価値の高い業務に充て、創出された利益を原資に賃金を引き上げる、といった好循環を生み出すことが期待されています。
本助成金の対象となるのは、「生産性向上」に明確に寄与する投資です。先日開催したセミナーでの質疑応答を基に、具体的な事例をご紹介します。
最も多くご相談いただくのが、POSレジシステムの導入です。なぜなら、日々の売上管理や在庫確認にかかる時間が大幅に短縮され、創出された時間を商品開発や顧客サービス向上に活用できるため、生産性向上の効果を具体的に示しやすい代表例だからです。
飲食業や宿泊業の皆様からは、高機能な食器洗い機やスチームコンベクションオーブン、大型の業務用冷蔵庫などが対象になるか、というご質問をいただきます。これらも、労働負荷の軽減や一度に調理・提供できる量の増加、仕入れ業務の効率化といった観点から、生産性向上への貢献が認められやすい設備です。
その他、小売店における自動包装機や、建設業における小型の運搬機器なども、作業時間短縮に繋がるため対象となる可能性があります。
「この設備は対象になるだろうか?」と迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。
さらに、多くの会員様から関心を寄せられている重要な点がございます。原材料費の高騰など、厳しい経営環境によって利益率が低下している方は「特例事業者」として、支援が拡充されます。
この特例が適用されると、通常は対象外となる以下の設備も助成対象となります。
実際に、この特例を利用して老朽化した軽トラックを買い替える計画などで申請される方もいらっしゃいます。
日々の業務に不可欠なIT機器や車両の更新は、多くの皆様にとって喫緊の課題かと存じます。この手厚い措置は、そうしたインフラ整備を力強く後押しするものですので、該当する可能性のある方はぜひご相談ください。
本助成金を活用する上で、最も重要な原則が一つございます。
それは、「労働局からの交付決定通知書を受け取った後に行う」という点です。この順番を誤り、通知を受け取る前に設備を発注・購入したり、賃金を引き上げたりした場合、それらの費用は一切助成の対象となりません。「申請が先、行動は後」という点を、くれぐれもご留意ください。
その他、特にご注意いただきたい点を以下にまとめました。
今回は、最低賃金の引き上げに対応し、事業の成長を図るための「業務改善助成金」について解説いたしました。重要な点を3つに要約します。
「制度の詳細は分かったが、自社の場合に具体的にどう活用できるか相談したい」「申請書類の作成に不安がある」といった会員様のために、串本町商工会では専門家による無料の個別相談会を下記の日程で開催いたします。
社会保険労務士の先生が、皆様一人ひとりの状況を丁寧にお伺いし、最適な助成金の活用法や申請手続きについて具体的にアドバイスします。
この機会をぜひご活用いただき、経営に関するお悩みをご相談ください。詳細およびお申し込みについては、以下のページをご覧ください。
◆【9月4日(木)経営特別相談会を開催します
◆【10月2日(木)経営特別相談会を開催します
人手不足や物価高、そして今回の最低賃金引き上げなど、経営環境は厳しさを増しておりますが、このような公的支援制度を戦略的に活用し、会員の皆様と共にこの状況を乗り越えてまいりたいと存じます。