• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

「せっかく採用しても、すぐに辞めてしまう…」 「求人を出しても、なかなか応募が来ない…」

そんな悩みを抱えている経営者の方は多いのではないでしょうか? 先日、商工会で開催された「人材確保セミナー」は、まさにそんな私たちの悩みにズバリ答えてくれる内容でした。

実は、応募が来ない原因は「賃金」だけではありません。そして、良かれと思って設定している「試用期間」が、思わぬ法的なトラブルの火種になっていることもあるのです。

今回は、セミナーで学んだ「求職者の心をつかむ求人票の書き方」と、知らないと怖い「試用期間の正しいルール」、そしてリスクを抑えて良い人材を採用するための国の制度(トライアル雇用)について、分かりやすく解説します。 明日からの採用活動に役立つ情報をギュッと凝縮しましたので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

私たち事業所側からすると、ハローワークに求人を出すとき、「まずはパートやアルバイトから始めてもらって、良さそうな人なら正社員に登用しよう」と考えがちですよね。経営のリスクを考えれば、当然の心理だと思います。

しかし、セミナーで紹介されたデータによると、それは今の求職者のニーズとは少しずれてしまっているようなのです。

特に、家族を養う世代や、将来に不安を感じている若い世代ほど、「生活の安定」と「長く働ける安心感」を何よりも重視しています。「まずは契約社員から」と書かれているだけで、「いつ契約が切れるか分からない」という不安が先に立ち、応募の選択肢から外されてしまうことが多いのだとか。

実際、セミナーで紹介された求職者アンケートでも、重視するポイントの1位は「正社員(57%)」、2位は「賃金(49%)」、3位は「休日(48%)」となっており、これらは「仕事内容(36%)」よりも上位に来ています。

求職者は、私たちが思う以上に求人票の「備考欄」や「仕事の内容」をじっくり読み込んでいます。

「自分はこの会社に入って、安心して生活設計ができるだろうか?」

その不安を解消してあげることが、応募への第一歩なのだと痛感しました。

では、具体的にどうすれば「安心感」を与えられる求人票になるのでしょうか?

セミナーでは、求人票を「4つの軸」で整理するテクニックを教わりました。これはすぐにでも使える実践的な内容でしたので、シェアしますね。

講師の先生が強調されていたのは、「アットホームな職場です」といった、よくある曖昧な表現を避けることでした。

例えば、ただ「アットホーム」と書く代わりに、

「お昼休みには、スタッフみんなで昨日の釣果の話で盛り上がっています」
「勤続20年のベテラン事務員さんがいるので、未経験でも焦らず仕事を覚えられます」

と書いてみる。

これなら、「あ、和気あいあいとしてそうだな」「ここなら自分でも続けられそうだな」と、読み手が勝手に良いイメージを膨らませてくれますよね。具体的な数字や、串本らしい情景を入れるのがコツだそうです。

また、目からウロコだったのが、「隠したいデメリットをあえて書く」という手法です。 とはいえ、ただ悪いことを書くだけでは応募が遠のいてしまいます。そこで使えるのが、ネガティブな情報をポジティブな情報で挟む「サンドイッチ話法」です。

例えば、「おかげさまで夏場は多くのお客様で賑わいます。(ポジティブ) そのためお昼ご飯が14時を過ぎることもありますが、(ネガティブ) その分、まかないは豪華ですよ!(ポジティブ)」 といった書き方をするのです。

これなら、「忙しい=人気店である」というプラスの文脈の中で大変さを伝えられますし、同時に「嘘をつかない誠実な会社だな」という信頼感にもつながります。

さて、ここからはセミナーの内容を聞いていて、私自身が「ん?これって法的にはどうなんだろう?」と気になり、事務所に戻ってから詳しく調べてみた内容をお伝えします。

それは、「試用期間」と「契約期間」の関係です。

よく、「正社員(無期雇用)で募集したけれど、最初の3ヶ月は様子見として『有期雇用契約』を結ぶ」というケースを見かけます。セミナーでも「トラブルになりやすい」と触れられていましたが、詳しく調べてみると、これはかなりリスクが高い運用であることが分かりました。

求職者は求人票の「正社員」という言葉を信じて応募しています。それがいざ入社するときに「最初は3ヶ月契約ね」と言われたらどう思うでしょうか?

調べてみたところ、これは「求人条件と労働条件の相違」として、職業安定法違反求人詐欺と問われる可能性があるだけでなく、場合によっては損害賠償請求の対象にもなり得るようです。

さらに、2024年の法改正で「労働条件の明示ルール」が厳格化されました。有期契約を結ぶなら、「どんな場合に契約を更新するのか」「通算契約期間の上限はあるのか」を書面ではっきり示さなければなりません。

「とりあえず口約束で様子見」という昭和的なやり方は、今の時代、通用しなくなっていると肝に銘じた方が良さそうです。

もう一つ、多くの事業者が誤解しやすいポイントが「試用期間中の解雇」についてのルールです。

よく「採用して14日以内なら、解雇予告手当を払わずに解雇できる」と言われますよね。

これを「14日以内なら、相性が合わなければすぐに辞めてもらっても法的に問題ない」と解釈されている方がいらっしゃいますが、これは大きな誤解です。

労働基準法第21条で認められているのは、あくまで「30日前の予告がいらない(即時解雇できる)」「予告手当(お給料)を払わなくていい」という手続き上の特例だけなんです。 しかも、この14日間というのは「出勤日数」ではなく「カレンダーの日数(暦日)」ですので注意が必要です。「週3日勤務だから1ヶ月くらい大丈夫だろう」と思っていると、あっという間に期間を過ぎてしまいます。

そもそも、「解雇そのものが有効かどうか」は手続きとは全く別の話です。試用期間中であっても、解雇するには「客観的で合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。

さらに調べてみて怖くなったのが、解雇が無効と判断された場合のリスクです。

もし不当解雇(解雇権の濫用)と認定されると、「解雇は無効=まだ社員である」ことになり、職場に戻さなければなりません。

それだけではありません。裁判などで争っていた期間(実際には働いていなかった期間)のお給料(バックペイ)も、さかのぼって全額支払うことになります。

「試用期間=お試し期間」という軽い言葉の裏には、「安易に解雇すると、多額の支払いや雇用の継続義務が生じる」という重い法的責任があることを、私たちは知っておく必要がありますね。

「そんなに厳しいなら、怖くて誰も雇えないよ…」

ここまで読んで、そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、「じゃあ、どうすればいいの?」とさらに調べたところ、国が用意している「トライアル雇用」という制度にたどり着きました。

これは、ハローワークの紹介を通じて、最長3ヶ月間を国が認める「お試し期間(有期雇用)」として雇い入れる制度です。

通常の試用期間と違って、最初から「お互いの見極め期間」として設定されているので、もし3ヶ月働いてみて「合わない」となれば、無理に本採用しなくても契約満了として終了できます。 もちろん、全国的には約8割の方がそのまま正社員へ移行しており、「良い人材を見極めて定着させる」ためにこそ有効な制度です。

しかも、一定の要件を満たせば、会社に対して助成金も支給されます。

ただし、この制度を使うには「面接前にハローワークからの紹介状をもらうこと」が絶対条件です。

自分で見つけてきた後に「トライアル雇用にしたい」と言っても認められませんので、必ず求職者の方と面接をする前に、ハローワークにご相談くださいね!

「いきなり一生の約束(正社員採用)をするのは重いけれど、まずは3ヶ月、お互いを知る期間にしませんか?」この制度を使えば、求職者にとってもハードルが下がりますし、私たち事業者もリスクを抑えて採用活動ができます。

人手不足の時代だからこそ、こうした公的な制度を賢く使って、良いご縁を繋いでいきたいですね。

今回は、先日開催された「人材確保セミナー」の内容から、特に重要なポイントをシェアさせていただきました。

人手不足で焦る気持ちは痛いほど分かります。しかし、焦って法的なリスクを負ったり、ミスマッチですぐに辞められてしまっては、元も子もありません。

「急がば回れ」の精神で、まずは制度を正しく理解し、安心して長く働いてもらえる環境を整えることが、結果として一番の近道になります。

私たち商工会も、求人票の添削や、トライアル雇用の申請サポートなど、全力で皆さんをバックアップします。 「ちょっと相談してみようかな」と思ったら、いつでも窓口にお越しくださいね。皆さんの事業所が良い人材と巡り会えること、心から応援しています!


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