和歌山県が新たに始めた「ローカル・ゼブラ企業」成長支援プロジェクトをご存知でしょうか。社会貢献と収益の両立を目指す企業を支援する画期的な取り組みで、最大6名限定のアクセラレーションプログラム「Kii Spark」が注目を集めています。
人手不足や高齢化といった課題を抱える串本町の事業者の皆様にとって、この支援プログラムは新たな事業展開のきっかけになるかもしれません。
本記事では、ローカル・ゼブラ企業の基本的な考え方から、具体的な支援内容、申込み方法まで、わかりやすく解説します。7月31日の募集締切まで、まだ時間があります。ぜひ最後までお読みいただき、新しい挑戦をご検討ください。
目次
ローカル・ゼブラ企業という言葉を初めて聞く方も多いでしょう。これは最近注目されている新しい企業のあり方で、地域の社会課題を解決しながら、しっかりと利益も確保する企業のことです。
なぜ「ゼブラ」と呼ばれるのでしょうか。シマウマの白い部分を「社会貢献」、黒い部分を「経済性」に例えて、その両方を大切にする企業という意味が込められています。従来のように「利益を追求するか、社会貢献をするか」という二者択一ではなく、両方を同時に実現する経営スタイルなのです。
具体的には、地域の高齢化対策を進めながら収益を上げるサービス業、環境問題解決に取り組む製造業、観光客と地元住民の両方にメリットをもたらす飲食業などが例として挙げられます。串本町でも、美しい海と自然を守りながら観光業を発展させる取り組みや、地域の伝統技術を活かした新商品開発などが考えられるでしょう。
実は、この考え方は国の政策としても強く推進されています。中小企業庁では「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を策定し、全国的にローカル・ゼブラ企業の創出・育成を支援しています。つまり、単なる一時的な取り組みではなく、これからの時代に求められる経営スタイルとして位置づけられているのです。
従来の経営では売上や利益だけを重視してきましたが、ローカル・ゼブラ企業では「地域社会への貢献度」も同じくらい重要な指標として考えます。長期的に持続可能な事業を目指し、地域と共に成長していく企業のあり方と言えるでしょう。
◆中小企業庁:地域課題解決事業推進(ゼブラ企業)
和歌山県が2025年度から本格的にスタートさせた「ローカル・ゼブラ企業」成長支援プロジェクトは、全国でも先進的な取り組みです。特に注目すべきは、最大6名限定のアクセラレーションプログラム「Kii Spark」の充実した支援内容です。
支援プログラムの3つの柱をご紹介します。
まず「個別メンタリング」では、和歌山ゆかりの経験豊富な先輩起業家による月1回の個別指導を受けられます。メンターには、製造業DX支援で実績のある井口一輝氏、婚礼撮影で年間2,700組の実績を持つ高幣久富氏、地域防犯システムを手がける原亮介氏、不動産業でM&A実績のある吉松三喜氏など、各分野のエキスパートが揃っています。
二つ目は「経営基礎勉強会」への参加です。関西発のスタートアップアクセラレーションプログラム「Booming」の勉強会に参加し、お金の考え方から人事、KPI設計まで、経営者として必要な知識を体系的に学べます。Boomingは2015年から2020年の5年間で上場企業3社を輩出した実績のあるプログラムです。
三つ目は「個別フォローアップ」で、経験豊富なチューターが参加者の理解度や進捗を細やかにサポートします。学んだことを実践的な力に変えるため、チューター設計のワークショップも複数回開催される予定です。
このプログラムの運営基盤として、2025年3月に開設された「Key Site」が重要な役割を果たしています。和歌山市にあるこの施設は、紀陽銀行・ATOMica・HIRAC FUNDの三者連携による支援拠点で、和歌山から新たなビジネスを創出することを目的としています。
参加者の選考は書類審査とプレゼンテーションピッチ審査の二段階で行われ、本気で取り組む意欲のある方を厳選します。参加後5年以内に売上10倍または上場を目標とする、本格的な成長支援プログラムです。
◆和歌山県企業振興課:ローカル・ゼブラ企業成長支援プロジェクト
串本町の事業者の皆様にとって、このプログラムへの参加は多くのメリットをもたらすでしょう。特に現在抱えている経営課題の解決と、将来に向けた新たな可能性の発見につながると考えられます。
最大のメリットは、専門的な経営支援を無料で受けられることです。通常、経営コンサルタントに月1回の個別指導を依頼すれば、相当な費用がかかります。しかし、このプログラムでは県の支援により、経験豊富なメンターから直接指導を受けることができます。
人手不足や後継者問題で悩む事業者にとって、事業承継や組織運営の専門知識を学べることは大きな価値があります。また、IT化やDXの進展に対応したい事業者には、製造業DX支援の専門家から最新の知識を得られる機会となるでしょう。
串本町ならではの地域資源を活かした事業展開も期待できます。美しい海岸線や豊かな自然、本州最南端という立地、そして2025年から本格稼働予定のスペースポート紀伊など、他地域にはない特色を活かしたローカル・ゼブラ企業の創出が可能です。
観光業では、環境保護と観光振興を両立させる持続可能な観光の仕組み作り、漁業では海洋保護と漁業継続を両立させる取り組み、小売業では高齢者支援と地域活性化を組み合わせたサービス開発などが考えられます。
資金調達面でのサポートも重要なポイントです。プログラムでは地域金融機関との連携も重視されており、社会的価値創出型の資金調達についても学べます。従来の担保や売上重視の融資とは異なる、新しい資金調達の可能性が広がるでしょう。
さらに、参加者同士のネットワーク形成も見逃せないメリットです。同じ志を持つ県内の事業者との交流を通じて、新たなビジネスチャンスや協力関係が生まれる可能性があります。
◆串本町商工会:創業支援について
「Kii Spark」プログラムへの参加をご検討いただく皆様に、具体的な申込み方法とスケジュールをご案内します。
募集締切は令和7年7月31日(木)までです。まだ時間はありますが、書類審査とプレゼンテーションピッチ審査の二段階選考があるため、早めの準備をおすすめします。
まず、どのような事業者が対象となるかを確認しましょう。地域課題の解決に取り組みたい意欲があり、社会的インパクトと経済性の両立を目指す事業者が対象です。業種や規模に特別な制限はありませんが、本気で取り組む意志と具体的な事業計画が求められます。
今から準備できることをご紹介します。まず、自社の事業が地域のどのような課題解決につながるかを整理してください。串本町の人口減少、高齢化、観光振興、環境保護、産業活性化など、様々な課題の中から自社が貢献できる分野を明確にしましょう。
次に、社会的価値と経済的価値の両立をどのように実現するかの構想を練ってください。例えば、高齢者向けサービスで地域の課題を解決しながら、持続可能な収益モデルを構築する方法などを具体的に考えることが大切です。
事業計画書の作成も重要な準備項目です。現在の事業の状況、課題認識、今後の展開計画、期待される社会的インパクト、収益モデルなどを整理しておきましょう。串本町商工会では事業計画書作成の支援も行っていますので、お気軽にご相談ください。
プレゼンテーション資料の準備も必要です。限られた時間の中で、自社の取り組みの意義と可能性を効果的に伝える必要があります。地域への愛着や貢献への思い、具体的なビジョンを分かりやすく表現することがポイントです。
申込みに関するお問い合わせは、和歌山県商工労働部企業政策局企業振興課まで直接ご連絡いただくか、串本町商工会を通じてもサポートいたします。書類の作成方法や審査のポイントなど、詳細な質問にもお答えします。
選考を通過された方は、8月からの本格的なプログラムに参加いただきます。約6ヶ月間の集中的な支援を通じて、地域課題解決と持続的成長を両立する事業の基盤作りを進めていただけます。
◆和歌山県 商工労働部 企業政策局 企業振興課
電話: 073-441-2760(代表)
所在地: 〒640-8585 和歌山県和歌山市小松原通1丁目1番地
和歌山県が始めた「ローカル・ゼブラ企業」成長支援プロジェクトは、串本町の事業者の皆様にとって新たな可能性を開く取り組みです。重要なポイントは以下の通りです。
地域の課題解決に取り組みながら持続的な成長を目指す経営は、これからの時代に求められる重要な要素です。串本町の豊かな地域資源を活かし、新たな事業展開にチャレンジしてみませんか。
詳しい情報やご相談については、串本町商工会までお気軽にお問い合わせください。皆様の挑戦を心から応援しています。