• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

「ハローワークに求人を出しても、なかなか問い合わせが来ない…」 「せっかく仕事を覚えた従業員が、将来の不安を理由に辞めてしまった…」

串本町で事業を営む経営者の皆さん、こんなお悩みはありませんか? 人口減少が進む中、人材の確保は私たち小規模事業者にとって死活問題ですよね。

「退職金なんて、大企業の話でしょ? うちみたいな小さな店には無理だよ」 もしそう諦めているとしたら、実はとても「もったいない」ことをしているかもしれません。

実は、従業員1人あたり月々1,000円という低コストから、立派な退職金制度を作る方法があるのをご存知でしょうか? この記事では、私たち串本町商工会が、地元の小規模事業者にこそおすすめしたい「2つの退職金制度(特退共・中退共)」について、その違いや選び方を分かりやすく解説します。

制度をうまく活用して、「従業員が安心して長く働けるお店」への第一歩を踏み出してみませんか?

結論から申し上げますと、小さなお店こそ、今すぐ検討していただきたい制度です。

なぜなら、ここ串本町でも年々深刻化している「人手不足」に対し、最も効果的な対策の一つになり得るからです。 皆さんも肌で感じておられる通り、今はハローワークに求人を出しても、なかなか応募が来ない時代になりましたよね。求職者の方、特に地元で長く働きたいと考えている若い世代や、子育てが一段落したお母さんたちは、目先の給料だけでなく「この会社で長く安心して働けるか」をとてもシビアに見ています。

例えば、退職金制度を導入したことで、人材の定着に成功した事例は少なくありません。 ある事業者様では、面接の際に「うちは小さな会社だけれど、長く勤めてくれればこれだけ退職金が出るよ」と具体的な数字を見せるようにしたそうです。すると、求職者に「将来まで考えてくれている」という安心感が伝わり、新しく入った従業員さんが長く定着し、今では頼もしい右腕として活躍しているというケースもあります。

「でも、毎月掛け金を払う余裕なんてないよ」と不安に思われる方もいらっしゃるでしょうか。 ご安心ください。商工会がご案内している制度なら、従業員一人あたり月々1,000円から積み立てることができます。 月々わずかコーヒー数杯分のコストで、求人票に「退職金制度あり」と書けるようになるのです。これは、お店の信頼度を上げるための「必要経費」と考えても、決して高いものではないはずです。

「退職金なんて、会社の口座に毎月貯金しておけばいいんじゃない?」 そう思われる方もいるかもしれません。しかし、あえて商工会や国の制度(外部制度)を使うことには、明確な理由があります。

つまり、自分で貯めるよりも「会社にお得で、従業員に安心」なのが、外部制度を使う大きなメリットなのです。

いざ「退職金制度を始めよう」と思った時、最初によくご質問いただくのが、「商工会の制度(特退共)」と「国の制度(中退共)」の違いについてです。 どちらも従業員さんのための素晴らしい制度ですが、それぞれに「得意分野」が異なります。

まず、私たち串本町商工会が窓口となっているのが「特定退職金共済(特退共)」です。 最大の特徴は、何と言っても「顔が見える安心感」と「手続きの簡単さ」ですね。商工会の会費と一緒に手続きができますし、分からないことがあれば、いつもの商工会職員に直接ご相談いただけます。また、掛金も1,000円単位で細かく設定できるので、お店の懐事情に合わせて無理なく始められるのが魅力です。

一方、国が運営しているのが「中小企業退職金共済(中退共)」です。 こちらの最大の強みは「助成金」があることです。新しく加入する場合、掛金の2分の1(上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間、国が助成してくれるため、スタート時の負担を大幅に減らせます。 掛金は原則として月額5,000円からですが、パートタイマーの方などは特例で月額2,000円から加入できる場合もあります。

また、中退共は国の制度なので、もし従業員さんが将来転職しても、転職先に同じ中退共制度があれば積み立てたお金を持ち運べる(通算できる)のも大きな特徴です。これは「キャリアアップしても資産が消えない」という点で、働く側にとって大きな安心材料になります。

「手厚いサポートと柔軟性の特退共」か、「助成金とポータビリティの中退共」か。 文字だけでは少しイメージしにくいかもしれませんので、2つの違いをパッと見て分かる図にまとめてみました。

「それぞれの良さは分かったけれど、結局うちはどっちを選べばいいの?」 そんな声が聞こえてきそうです。もちろん、お店の状況によって正解は一つではありませんが、長年ご相談を受けてきた経験から、おすすめの選び方をお伝えします。

特に、事務員さんがおらず経営者ご自身やご家族が経理をされている場合、手続きの簡便さは非常に重要です。商工会に行けば書類が揃っていて、書き方もその場で教えてもらえる。この「顔の見える安心感」は、忙しい小規模事業者にとって何よりのメリットだと思います。

ここが少しややこしいのですが、重要なポイントです。 中退共はパート特例を使えば月2,000円から加入でき、さらに国の助成金も使えます。ですので、パートタイマーの方を中心に加入させるなら中退共がお得です。 一方、フルタイムの従業員の場合、中退共は原則月5,000円からのスタートになりますが、特退共なら月1,000円から設定できます。ですので、フルタイムの方の掛金負担を最小限に抑えたい場合は、特退共の方が安く済みます。

※どちらが良いか迷われた場合は、ぜひ商工会窓口へお越しください。掛金や将来の受取額などを具体的にシミュレーションして比較することができます。

退職金制度には、いくつか「誤解されやすいポイント」があります。後で「知らなかった!」とならないよう、特によくある2つの疑問にお答えしておきます。

A1:経営者や法人の役員は加入できませんが、個人事業主の「家族従業員」なら加入できる可能性があります。 原則として、経営者本人や会社の役員(取締役など)は加入できません。 しかし、個人事業主のお店で働いているご家族(青色事業専従者など)については、他の従業員と同じように働いているなど一定の条件を満たせば加入できるケースが多いです。「うちは家族経営だから無理か…」と諦める前に、一度ご相談ください。

ちなみに、経営者ご自身のためには「小規模企業共済」という別の制度が用意されています。こちらは掛金が全額所得控除になるなど、経営者にとって非常に大きな節税メリットがあります。「従業員(と家族従業員)は特退共、社長は小規模企業共済」と使い分けるのが鉄則です。

◆小規模企業共済についてはコチラの記事をご覧ください:小規模企業共済を活用して、未来の安心を育てませんか?

A2:ご安心ください。必ず従業員さんの手に渡ります。 ここが社内積立との決定的な違いです。外部の制度で積み立てたお金は、万が一お店が倒産したり廃業したりしても、他の支払いに流用されることは絶対にありません。全額が守られ、直接従業員さんに支払われます。 従業員さんにとっても、「会社に万が一のことがあっても退職金は守られる」というのは、大きな安心材料になるはずです。

ここまで読んで、「うちでもやってみようかな」と少しでも思っていただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。 導入への道のりは、とてもシンプルです。

最初から満額を目指す必要はありません。まずは月々1,000円、特退共からスモールスタートするのも立派な経営判断です。 「従業員を大切にしたい」というその想いを、ぜひ形にしてみてください。私たち串本町商工会も、全力でサポートさせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「退職金制度」と聞くと、どうしてもハードルが高く感じてしまうかもしれません。 しかし、今回ご紹介したように、今は「小さく始めて、大きく育てる」ことができる時代です。

従業員さんの「ここで長く働きたい」という気持ちに応えることは、結局のところ、お店の経営を安定させ、地域で愛され続ける一番の近道ではないでしょうか。

私たち串本町商工会は、頑張る事業者の皆さんの「最初の一歩」を全力で応援します。 「ちょっと話だけでも聞いてみようかな」 そんな気軽な気持ちで、ぜひ商工会のドアを叩いてください。温かいお茶をご用意して、お待ちしております。


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