
串本町でお店や会社を営む皆さま、毎日のご商売、本当にお疲れ様です。
突然ですが、長年一緒に働いてきた大切なスタッフが、ある日「がんが見つかりました」と打ち明けてくれたとしたら―。あなたは、どう答えますか?
「うちみたいな小さな店では、立派な制度なんて作れないよ」
「治療に専念してもらうために、辞めてもらうしかないのでは…」
そんな風に悩んでしまうかもしれませんね。
でも、そう結論づける前に、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。長年お店を支えてくれたスタッフを守ることは、大切な会社そのものを守ることにつながります。一緒に、安心できる職場づくりを始めてみませんか。
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今、働き盛りの40〜60代では、3人に1人ががんになる時代と言われています。和歌山県だけでも、年間約8,500人ががんと診断され、約3,300人が亡くなっています。
がんは、もはや「運の悪い人がかかる特別な病気」ではありません。長く人手不足が続く串本町で、従業員さんの存在がいかに貴重か、経営者の皆さんが一番よくご存じのはずです。
改正労働施策総合推進法により、令和8年(2026年)4月1日から、「治療と就業の両立支援」が全ての事業主の努力義務になります。
「うちみたいな小さな会社には関係ない話では?」
いいえ、従業員が1人でもいる事業所が対象です。飲食店でも、水産業でも、小売店でも、すべての事業主の方に関わる話です。
ただ、「法律」「義務」と聞いて、身構える必要はありません。いきなり大企業のような制度を整える必要はなく、法律が求める第一歩は、意外とシンプルなのです。
一番つらいのは、従業員さんが病気を一人で抱え込み、「迷惑をかけたくない」と誰にも言えないまま退職してしまうことです。
朝礼のひとこと、休憩中のちょっとした雑談―そんな日常の中で、「もし健康のことで困ったことがあったら、遠慮なく相談してね。窓口は私が(あるいは総務の〇〇さんが)聞くからね」と声をかけてみてください。
「病気になっても、辞めなくていいよ」
この一言が、従業員さんにとってどれほど大きな安心になるか。串本の小さな職場だからこそ、この言葉に温度があります。
がんに限らず、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病など、治療を続けながら働いている方は大勢います。「うちの従業員にはそういう人はいない」と思っていても、実は言い出せずに一人で抱えているケースは少なくありません。
なお、法律の指針では「社内の相談窓口を明確にすること」も推奨されています。専任の担当者を置く必要はありません。「困ったときはまず社長か、総務の〇〇さんに話してね」と決めて従業員に伝えるだけで、立派な第一歩です。
治療が始まると、定期的な通院や体調の波が生じます。制度として難しく考えず、まずは「少しの融通」から始めてみましょう。
こうした取り組みは、がんの方だけでなく、すべての従業員さんの働きやすさにもつながります。結果として、スタッフが長く定着し、採用力の向上にもつながっていきます。
もう一つ、大切なことをお伝えします。がんは早期発見なら、ほとんどが治ります。
例えば乳がんのステージⅠの5年生存率は98.9%。ところがステージⅣになると39.8%まで下がります(国立がん研究センター調べ)。
症状が出てから受診したのでは、すでにステージが進んでいることも少なくありません。
協会けんぽに加入している会社には、がん検診の補助制度があります。まずは「検診を受けやすい雰囲気づくり」「休暇が取りやすい環境」から始めてみましょう。

就業規則はどう変えれば? 医師の意見をどう職場に活かす? 個別の対応はどうする?
そんなときに心強いのが、「和歌山産業保健総合支援センター(産保センター)」です。社会保険労務士・保健師・心理職などの専門スタッフが、無料で会社まで訪問し、制度づくりや従業員との個別調整までサポートしてくれます。
◆詳しくは和歌山産業保健総合センターHPを御覧ください
また、厚生労働省の「治療と仕事の両立支援ナビ」(ポータルサイト)では、他社の取り組み事例や実践的なガイダンスが無料で閲覧できます。
◆厚生労働省:治療と仕事の両立支援ナビはこちらから御覧ください
私たち串本町商工会は、法律や医療の専門家ではありません。でも、「こんな制度が始まりますよ」「こんな窓口がありますよ」と、皆さんにいち早くお伝えする案内役でありたいと思っています。
令和8年4月まで、残りわずかです。まずは「相談できる窓口がある」ということだけでも、心の片隅に留めておいてください。何かご不明な点があれば、商工会窓口までお気軽にどうぞ。
串本町商工会 TEL:0735-62-0044