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7月の特集記事は創業です。
創業される方は、事業を承継される方と同様、町の未来を担っていく大切な存在です。創業される方が増えれば、町の活性化に繋がります。今回は、これから個人事業主のなる方に向けて、最初に気をつけるポイントについて説明します。

許認可が必要な業種

創業をするにあたっては、行政の「許認可」が必要な業種があります。自分が創業しようと思っている業種については、許認可の確認を必ず行いましょう。

おもな業種と申請先

業種 許可・届出 窓口
 飲食店  飲食店営業許可  保健所
 ホテル・旅館  旅館業営業許可  保険所
 美容院  美容所開設届出  保健所
 理容所  理容所開設届出  保健所  
 クリーニング店  クリーニング所開設届出  保険所
 酒類販売業  酒類販売業免許  税務署
 中古品販売  古物商許可  警察署
 警備業  警備業認定  警察署
 自動車運転代行業  自動車運転代行業認定  警察署
 建設業  建設業許可  都道府県庁
 遊漁船業  遊漁船業者登録  都道府県庁
 トラック運送業  一般貨物自動車運送事業経営許可  運輸局
 個人タクシー業  一般乗用旅客自動車運送事業経営許可  運輸局
 自動車分解整備業  自動車分解整備事業認証  運輸局

 

個人事業の開業届

個人事業の開業届は、個人事業主に義務付けられている届出です。事業を始めたら1ケ月以内に「個人事業の開業出書」を納税地の税務署に提出する必要があります。

 

「個人事業の開業・廃業等届出書」

  • 開業届の正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。廃業届もかねていますが、開業の届出手続きをしたいので、開業に関するところだけを記入します。

個人事業の開業届出書(記入箇所)

  • 確定申告の際に、「青色申告」を希望する場合は、「青色申告承認申請書」の「有」に○をします。「有」を選ぶと「所得税の青色申告承認申請書」も記入して一緒に提出します。

  • 「課税事業者選択届出書」は今までであれば、「無」を選択することがほとんどでしたが、最近はインボイス制度もあるので、それも考慮して考える必要があります。
    創業にあたって、高額の設備投資をした場合は、「有」を選ぶと消費税の還付を受けることもできるようになります。
    「有」を選択すると「課税事業者選択届出書」を記入して提出します。「無」にするか「有」にするかを迷う時は、商工会までご相談ください。

  • 創業と同時に従業員を雇用した時は、給与の支払の状況欄関連も記入が必要となります。

個人事業の開業・廃業等届出書

 

必ず「控え」に受付印をもらって保管しておきましょう。

  • 開業届には「控」がもともとありますが、「青色申告承認申請書」や他の書類は、記入後にコピーをとって「控」作ってください。
  • 本書・控・返信用封筒(切手を貼っておくこと)を同封して税務署に提出してください。「控」に受付印を押印して返送してくれます。
  • 「控」は大切に保管してください。金融機関で借入や補助金等を申請する場合に必要となることがあります。

青色申告制度

開業届を税務署に提出すると1月頃に「確定申告書の用紙」が届きます。「青色申告」と「白色申告」では、決算書の様式が違います。

今回は青色申告について説明します。

青色申告とは

青色申告とは、日々の取引を帳簿に記入して、その帳簿に基づいて正しい所得や税額の計算をして納税申告する制度です。正しい所得の計算ができることから、税法において有利な特典が受けられます。帳簿の記入は少し複雑になりますが、お金の動きを正確に把握することで、経営の実態を把握しやすくなります。

青色申告の主な特典

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者給与額の必要経費算入
  • 貸倒引当金の必要経費算入
  • 純損失の繰越し及び繰戻し

などがあります。その中でも最初に考える必要がある「青色申告特別控除」と「青色事業専従者給与額の必要経費算入」を以下に説明します。

青色申告特別控除

  • 帳簿を複式簿記で記帳、それに基づいて「貸借対照表と損益計算書」(青色申告決算書)を作成し、確定申告書につけて郵送で提出した場合は55万円の控除。
  • 郵送でなくe‐Taxによる電子申告をした場合は65万円の控除となります。
  • ①や②でははく、簡易な方法で記帳を行い、確定申告書に損益計算書だけをつけた場合は10万円控除になります。

所得税の青色申告承認申請書

青色事業専従者給与

個人事業主に給料を支払ったとしてもそれは経費になりません。事前に税務署に金額の届出をすると、家族に支払った給料は必要経費に計上できます。その際の書類が「青色事業専従者給与に関する届出書」です。

 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

 

記帳について

記帳については、今回参考にした国税庁の「帳簿の記帳のしかた~事業所得者用~」のリンク先を載せておきます。非常に参考になりますので、一読されるだけでなく、手元において参考にしてください。
必要経費の一覧表もあります。

帳簿の記帳のしかた

 

備付帳簿

「所得税の青色申告承認申請書」を記入していると最後の方に「6 その他参考事項」の欄があります。

どれにチェックをつければよいかと迷う項目ですが、国税庁の「帳簿の記帳のしかた~事業所得者用」の「Ⅲ 青色申告者の簡易帳簿とその記帳のしかた 1 備付け帳簿の内容」には次にように書いています。
「帳簿の種類については、行う業務の内容により異なりますが、標準的な簡易帳簿は①現金出納帳 ②売掛帳 ③買掛帳 ④経費帳 ⑤固定資産台帳の5種類です。」

 

日々の記帳

簡易帳簿であっても上記の5種類が必要です。これを日々記帳することになります。手書きで行うことも可能ですが、パソコンの会計ソフトを使って記帳をすると手間をはぶくことができます。

商工会も会員様向けに「商工会クラウド会計『MA1』」をお薦めしております。パソコンが使える方は利用してみてはどうでしょうか。

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レシートや領収証の保管のしかた

日々の取引で増えてくる書類等は7年保存しておけば間違いありません。

保存するにあたって決まりはありませんが、必要な時に探しやすいこと、スキャナをかけたり、写真を撮ったりしやすいようにしておくことがいいと思います。用紙の大きさを統一した紙に貼付すると保管しやすいです。

<具体的には>

● A4のコピー用紙。(差替えしやすい)
● コピー用紙の表だけに貼る。(裏には貼らない)
● レシート・領収証等は重ねて貼らない。(探すのに困る・コピーが取りにくい)
● 月ごとに束ねておく。(年度が過ぎたら年度でまとめておく)

これだとかなり整理できるはずです。

まとめ

創業は手続きのまだまだたくさんあります。今回は基本の一部分だけの説明です。わからないことがある時は、商工会にご相談ください。

手続きの際に提出する書類は「写し」を必ずとっておくことをお薦めします。他の手続きをする際に提出を求められることがよくあります。(経営指導員:吉村牧子)

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