• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

小規模事業者持続化補助金では【経営計画書】と【補助事業計画書】という2種類の書類が審査員によって審査されて、総合的な評価が高いものから順に採択されていきます。

もちろん書き方は自由ですが、審査員が審査しやすい書き方を心がけ、点数のつく項目を把握して、その部分をわかりやすく記載していくことで、採択率は確実にアップします。

この記事では、審査項目の中でも特に審査員が注目するポイントの記載方法を解説していきます。

せっかく申し込んでみたけど、なかなか採択されない方、申請書類を作ってみたが採択されるか不安な方、ぜひこの記事をご覧いただき、ご自身の申請書類のブラッシュアップに役立てていただきたいと思います。

【小規模事業者持続化補助金】の審査は【基礎審査】【書面審査】【加点審査】の3点がある

【小規模事業者持続化補助金】の公募要領をみると、審査は【基礎審査】【書面審査】【加点審査】があります。

基礎審査 ~基本的な項目~

  • 必要な提出資料がすべて提出されているか
  • 補助対象者、補助対象事業、補助率、補助上限額等、補助対象経費の要件及び記載内容に合致すること
  • 補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
  • 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等をもとにした取り組みであること

この項目は、当たり前の項目ですが、前提条件になっているので事前確認は必要ですね。

基礎的な要件を満たしているかどうかの審査ですので、【経営計画書】と【補助事業計画書】を作る前段階で、公募要領等を読み込んだり、商工会にお問い合わせいただくことで、クリアできる項目です。

公募要領や応募時の提出資料等については、コチラのHP必ず最新のものをご確認くださいね。

書面審査 ~【経営計画書】【補助事業計画書】の審査~ 

提出書類の【経営計画書】【補助事業計画書】を下の項目に基づいて加点審査をおこない、総合的な評価が高いものから順に採択されます。

自社の経営状況分析の妥当性

【経営計画書】の中で、以下の3項目を適切に把握しているかどうかが見られています。

  • 自社の経営状況
  • 自社の製品・サービスの強み
  • 自社の強み
自社の経営状況

自社の経営状況が、良いのか悪いのかを適切に把握するためには、どんな項目が必要でしょう?

自社の経営状況を分析する方法は多数ありますが、比較的取り組みやすいものを紹介します。

過去~現在の売上や利益、利益率、客数、客単価等の変化(3カ年分を使うことが多いです)を表で上昇傾向か下降傾向か示した上で、特徴的な変化の部分は、文章でも説明を加えていき、現状の売上や利益は、自社の過去との比較で、どのくらいのレベルにあるのか?そこに問題は発生しているのか?などを客観的に記載していきます。

ということなので図のように【あるべき姿】と【現状】の根拠になるデータしっかり記載して、ギャップとしての【問題】を浮き彫りにしておいたほうがよいと思います。

自社の製品・サービスの強み/自社の強み

この項目は、しっかり書いておく必要がある項目で、自社の良い部分を書いていきます。

日本人的な感覚で「自分のよいところをいうのが苦手」という方が多い印象ですので、まず【お客さまの声】や身近な人や従業員の皆さん、取引先の方にも聞いてみるのもいいと思います。

自分では気づきにくい意外な強みが発見できるかもしれません。

また、同業他社にはない自社や自社商品の特徴も強みと言えると思います。

よくある例を紹介すると、地域で長年営業してきたことは、地域住民から一定の評価を頂いているということだと思いますので、こういうことも含めても良いと思います。

次の項目の経営方針の項目との整合性が見られているので、経営方針の項目が強みを活かした取り組みになっているか?そのあたりのチェックは必要と思われます。

②経営方針・目標と今後のプランの適切性

提出書類【経営計画書】にある【経営方針・目標と今後のプラン】に求められる内容です

  • 自社の強みを踏まえているか?
  • 対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか?
自社の強みを踏まえているか?

上の項目【自社や自社の提供する商品・サービスの強み】と経営方針との整合性が問われています。

経営方針は【自社の経営状況】で浮き彫りにした【問題】解決するための【取り組むべき課題】と対応しているかどうか?そして、それは【強み】を活かした取り組みであるか?

対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか?

経営方針が、【経営計画書】の【2.顧客ニーズと市場の動向】の部分と整合性がとれているかのチェック項目です。

顧客ニーズと市場の動向を記載するときに、私は【顧客ニーズ】【市場の動向】と小見出しを作り。【市場の動向】には、さらに【業界全体の動き】【商圏内の市場動向】という小見出しをつくり、分けて記載していきます。

そうすることで、【経営方針】が【商圏内の市場動向】に沿った取り組みであるかどうかが、審査員にもわかりやすくなり、効果的だと考えています。

今後のプランを忘れていないか?

今後のプランを入れ忘れていないか、もう一度チェックしましょう。
私は、この項目には【取り組むべき課題】を記載して【経営方針】としています。

また【取り組むべき課題】にとりかかることで、どのくらい【問題】の解決につながるのかを数値目標を入れるようにします。

さらに【取り組むべき課題】を、いつ、どのくらいの期間取り組むのかということを示した表などをつけるようにしています。

③補助事業計画の有効性

提出書類【補助事業計画書】は、以下の項目の審査が行われます。

  • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
  • 販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は【経営計画書】の【今後の方針・目標】を達成するために必要かつ有効なものか。
  • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
  • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。
具体的で、実現可能性が高いものとなっているか

実現可能性が高いものとは、一体なんなのでしょうか?

壮大な計画すぎると判定されるものを排除して、楽観的すぎないかどうかが問われていると考えます。

また【経営計画書】の【経営方針・目標と今後のプラン】の項目の【数値目標】との整合性があるのではないかと思います。

数値目標が、勘や思いつきではなく、根拠となるものがあるかどうかがポイントになると思います。

販路開拓を目指すものとして、【経営計画書】の【今後の方針・目標】を達成するために必要かつ有効なものか

販路開拓を目指すものという前提の確認と、【経営計画書】の【経営方針・目標と今後のプラン】との整合性がチェックされています。

上で【経営方針】に【取り組むべき課題】を設定しましたが、【問題】を解決するために設定した【取り組むべき課題】の中の一部分として、【販路開拓としての今回の補助事業計画】があるかどうかが問われていると思います。

小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。

大企業や中小企業と比べて、小規模事業者であることのメリットはいくつかあります。

このメリットを意識して、創意工夫を盛り込んでいければ良いのかなと思っています。

①意思決定の速さ

小規模事業者は、組織がフラットで意思決定のプロセスが少ないため、素早く決定を下し行動に移すことができます。

②お客さんとの距離が近いため、個別のニーズに応じた柔軟な対応が可能

これにより、顧客の信頼を得やすく、顧客ロイヤルティを築きやすいという特徴があります。

③市場の変化に迅速に対応できる柔軟性も大きなメリット

大企業では方針変更に時間がかかりますが、小規模事業者は市場の要求やトレンドの変化に合わせて迅速に戦略を変更できます。

④個人の専門性や技術を活かしやすい環境

小規模事業者では個々の従業員のスキルやアイデアが直接事業成果に影響を与えるため、成果につながるとモチベーションの向上につながることが多いです。

⑤コミュニティとの関係性構築にも有利

地元密着型の小規模事業者は、地域社会との結びつきを強く持ち、地域に根ざしたサービスを提供することで、独自のポジショニングを確立しやすいです。

以上のような小規模事業者の特徴を踏まえて、作成した補助事業計画に使える点がないかチェックしてみましょう。

ITを有効に活用する取組が見られるか。
  • インターネット広告やバナー広告の実施
  • 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策
  • 商品販売のための動画作成
  • インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務効率化のためのソフトウェアの開発・構築
  • SNSを活用した販路開拓

など考えられますが、WEB関連費には上限が設けられており、WEB関連費のみでは申請できないなど、制約があります。

ですので、他の取り組みにプラスして【ITの有効活用】を検討してみてはいかがでしょうか?

④積算の透明・適切性

  • 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。

申請書類には、予定している事業にかかる経費の内訳が詳細に記され、その経費が妥当であることを証明できる必要があります。

申請時には見積もりや支出の根拠となる証拠資料の提出は求められていませんが、あったほうが根拠としては確かなものになりますね。

⑤その他

過去3年間「小規模事業者持続化補助金」で採択を受けて実施した事業者は、

  • 採択を受けた事業の実施結果を踏まえた補助事業計画を作れているかどうか?
  • 過去の補助事業と比較し、明確に異なる新たな事業であるか?

といった観点からも審査されます。

より多くの事業者に補助事業を実施してもらえるように、過去の補助事業の実施回数等に応じて段階的に減点調整がおこなわれます。

また補助金申請システム【J グランツ】を使用せずに、郵送で申請を行った事業者に対して、減点調
を行います。

加点審査 ~政策的な観点から加点する審査~

政策的観点から加点審査を行います。加点は【重点政策加点】【政策加点】からそれぞれ1種類
合計2種類まで選択することができます。

【重点政策加点】【政策加点】のどちらが配点が高いかは不明ですが、支援の緊急性を考えると【重点政策加点】のほうが高そうですね。

【重点政策加点】【政策加点】から2種類以上を選択された場合には、加点審査の対象となりませ
ので、お間違えのないようご注意ください。

【重点政策加点】~この中から1つだけ~

比較的対象者が多そうなのが【②事業環境変化加点】です。少しでも該当している方は積極的に選択すべきでしょう。

①赤字賃上げ加点

賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、赤字である事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。

②事業環境変化加点

ウクライナ情勢や原油価格、LP ガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。

③東日本大震災加点

東京電力福島第一原子力発電所の影響を受け、引き続き厳しい事業環境下にある事業者に対して、政策的観点から加点を行います。

④くるみん・えるぼし加点

次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。
政策加点の⑤一般事業主行動計画策定加点にも該当し選択されている場合は、重点政策加点分
のみ加点されますのでご注意ください。

【政策加点】~この中から一つだけ~

活用しやすいのは【①パワーアップ型加点】【④過疎地域加点】です。

①と④のどちらの配点が高いのかは公表されていません。

ちなみに串本町は、過疎地域に指定されています。

①パワーアップ型加点

以下の類型に即した事業計画を策定している事業者に対して、政策的観点から加点を行います。

○地域資源型

地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への
販売や新規事業の立ち上げを行う計画

○地域コミュニティ型

地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需
要喚起を目的とした取組等を行う計画

②経営力向上計画加点

各受付締切回の基準日までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。

③事業承継加点

各受付締切回の基準日時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合、採択審査時に政策的観点から加点を行います。

④過疎地域加点

過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓等に取り組む事業者を重点支援する観点
から、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経
済の持続的発展につながる取組を行う事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点を行います。

まとめ

この記事では、小規模事業者持続化補助金の【審査項目】の中でも特に審査員が注目するポイントを解説しました。

特に申請者みずからの努力次第で点数アップが期待できる【書面審査】に重点を置いた記事となりました。

【経営計画書】の各項目と【補助事業計画書】との結びつきに注意しながら、できるだけ数値を使って、表やグラフ、写真等を使いながら、審査員に伝わりやすい計画書を作ってみてくださいね。

記事では触れませんでしたが、申請する事業者にとっての事業効果が高い【計画書】の方が、補助金を出す側からすれば優先して採択したいところだと思います。

ですので無理をする必要はありませんが、補助事業が自社にとって効果が大きく、数値で計測できる取り組みが良いのかなと思っています。

なかなか採択されない方、申請書類を作ってみたが採択されるか不安な方、ぜひこの記事を見返して申請書類のブラッシュアップに役立てていただき、採択に一歩でも近づけるように頑張っていただけたらと思います。

★小規模事業者持続化補助金に関する総合的な記事はコチラをごらんくださいね!


今すぐ電話