実際の申請書で解説～持続化補助金の申請書について～／経営指導員　勝山沢哉

はじめに

「補助金の申請はハードルが高そう！」「〇〇を購入したけど補助金を使えるの？」という声をよく耳にします。実際、一番低い補助率のものでも50万円が受け取れるのですから、すごく簡単ではありません。でも、紙を提出すれば50万円を受け取れるのなら、一度チャレンジする価値はあると思います。

今回は、実際にあった相談を受け作成した申請書を基に書き方を解説いたします。（ただしこの通りに書けば採択されるというものではありませんのでご了承ください。）

使える補助金はあるかしら？

きっかけは「大型冷凍庫とお店の看板を新しくしたいけど、使える補助金はないかしら？」というお問い合わせでした。

古いから（壊れたから）買い換えたいという理由では補助金は使えませんが、新しく買い換えることで売上アップや効率化につながる場合は申請することができます。

新しく機材などを購入する場合は、何かしら理由があり「こうしたい」という希望があるはずです。頭の中にある「こうしたい」という気持ちを文字に書き出すことで、補助金で機材を購入して「こうしたい」を実現できます。

申請に必要な書類

申請時に必要な主な様式は次の３種類です。（今回は1.応募者の概要の記入ついては省略させていただきます。）

1.応募者の概要

2.経営計画

3.補助事業計画

様式は3枚ではなく3種類です。1枚におさめる必要はなく行を追加していきます。（2.経営計画と3.補助事業計画の2種類で合計8枚まで追加できます。）

特に2.経営計画と3.補助事業計画は、このままではぼんやりとしてとても書きづらいので、1から4を分けて考えると書きやすくなります。

実際に書いてみましょう

＜経営計画＞

1.企業概要

実際の申請書を下に掲載いたしました。（お名前や商品名は伏せております。）

【企業概要】

事業所名（店名）、代表者名、所在地、業種、創業年、従業員数、営業時間、休日、沿革を記入します。お店の紹介と思っていただければいいと思います。（お店やスタッフの写真があれば審査員の方がイメージしやすくなります。）

【当店のこれまでの取組や実績】

今までに取り組んできた内容を、商品（サービス）や何か特徴のあることを記載します。

【現在の経営状況】

・商品（サービス）ごとの、売上の高いもの・粗利の高いものを記載します。

・過去3年間の売上と粗利を記載します。

・利用いただいている顧客（取引先）層について記載します。

＜経営計画＞

2.顧客ニーズと市場の動向

【顧客ニーズ】

利用いただいている顧客（取引先）が求めている商品（サービス）を記載します。

【市場の動向】

競合の有無や顧客の増減など、これからの見通しを記載します。この申請の際はインターネットで「飲食業界の動向」「外食産業の動向」などの言葉で検索したものを使用しました。

【競合の状況】

この申請の際は記載しませんでしたが、競合状況があった方が点数があがります。どうしても無理な場合は仕方ありませんが、なるべく記載してください。

＜経営計画＞

3.自社や自社の提供するサービスの強み

【自店舗の強み】

「強み」となると書きにくいかもしれませんが、店の立地・昔からの取引先がり新鮮なものを仕入れできる・顧客から選ばれている理由など、ご自分が思う良いところを記載します。

【自店舗の商品・サービスの強み】

自店舗の強みと同じように、ご自分が思う良いところを記載します。

【顧客に評価されている点】

「お店で実際に聞いたこと」や「Googleの口コミ」などの良い点だけを記載します。

＜経営計画＞

4.経営方針・目標と今後のプラン

【経営方針】

1.企業概要　2.顧客ニーズと市場の動向　3.自社や自社の提供する商品・サービスの強みをもとに、良いところは残しつつ新たに力を入れたいことを記載します。

【経営目標】

3年目先までの売上目標を記載します。

＜補助事業計画＞

1.補助事業で行う事業名

30文字以内で記載します。

この申請の際は、元々評判の良かった「丼メニュー」は冷凍保存の数に限りあるため何度か売り切れとなり、ＳＮＳでも「残念」との声があったことからこの言葉にしました。

＜補助事業計画＞

2.販路開拓等（生産性向上）の取組内容

【事業概要】

ここでは様式が変わるため、あらためて自店舗の良いところを書き出し、良いところをさらに伸ばす旨の概要を記載しております。

【補助事業で行う販路開拓の具体的内容】

前項目の概要を、具体的に①冷凍庫買い替え　②店看板リニューアル　で何をしたいのかを記載しております。

【具体的な進め方・スケジュール】

おおまかでも良いのでスケジュールを記載します。

＜補助事業計画＞

3.業務効率化（生産性向上）の取組内容

この項目は必須ではありませんので、時間短縮・効率化・生産性向上がない場合は空欄のままでも大丈夫です。

＜補助事業計画＞

4.補助事業の効果

【売上等への効果】

取組事業ごとに効果を記載します。（あくまで予測で結構です。）

まとめ

いかがでしたか、少し分量が多くなりましたが、「冷凍庫の買い替え」「店看板を新しくする」という思いから始まり、店の売上アップにつながるのではないかと考えた結果、補助金の採択につながりました。

ぜひ、みなさんも「機材などを購入したい」「こうしたい」と思った時は補助金を活用してください。

★小規模事業者持続化補助金に関する総合的な記事はコチラをごらんくださいね！