• はっぴぃ。商い。行きます。聞きます。提案します。

串本町商工会では、毎年1月中旬ごろから確定申告に関する相談が増えてきます。

決算や確定申告というと、難しいイメージがついているので、やらなければ!とわかっていても、なかなか自分でやってみようという気持ちになるのも難しいのかも知れません。

会員の皆さまから、よく伺うのは「毎年◯◯ちゃんにやってもらってるから、今年も頼むわね」という言葉です。

この言葉からは、〇〇さんは一生懸命会員の皆さまのために、努力をしてきたのだろうなと思うと同時に、果たして、その会員さんは決算書や申告書を見返したりするのかな?ということが頭によぎります。

私が思うには、会計などの数字は、自分でまとめていく過程でだんだん理解が深まっていくものだと思っています。

人がまとめたものというのは、表面上は理解できるけど、腹落ちしない部分があります。

また、申告書はともかくとして決算書については、税務申告に使用するだけではなく、経営のための重要書類として活かす方法もございます。

商工会や税理士さんに任せっきりにしてしまうのでは、もったいない。

少しでも自分で主体的にまとめてみて、分からない部分を、商工会や税理士さん、また直接税務署に問い合わせてみながら理解を深めることで、アクティブ・ラーニングとなり、決算書の中身を【真に把握】することができ、また有用な経営情報にすることができるのではないでしょうか?

今回の記事では、決算、申告を自分でやってみたい方、自分でやりたくない方、それぞれの決算、申告業務、また決算書や数値データを計画的経営に活かす方法について、商工会でお役に立てる情報をお伝えしたいと思います。

【決算や確定申告】を自分でやってみたい方

個人事業の方の所得税の確定申告では、決算書で事業所得がいくらであったかを計算する必要があります。

税務申告で使用する決算書には、白色申告の場合には【収支内訳書】、青色申告の場合は【青色申告決算書】を使用します。

青色申告と白色申告の違い

個人事業主の青色申告は、年間の収入と必要経費を帳簿に記録することで、所得から最大65万円を特別控除できます。

さらに家族の給与を経費(青色専従者給与)として扱ったり、赤字を3年間繰越すことや、30万円未満のの減価償却資産が一括経費にできる等、税制上のメリットがあります。

一方、白色申告は簡易的な帳簿を使う方法で、以前は300万円以下の事業所得であれば帳簿の作成が不要でしたが、2014年以降、すべての個人事業主が帳簿保存や関連文書の保存が必要になりました。

青色申告と、ほぼ同じくらいの手間はかかりますが、青色申告のような税制上のメリットは白色申告にはないため、白色申告を選ぶ理由は少なくなってきています。

さて、皆さまはどちらの方法で確定申告をされていますか?

青色申告の税制上のメリットを受けるためには

白色申告をしている方で、青色申告に変更したい場合は、青色申告をおこなう年の3月15日までに青色申告承認申請書」を所管の新宮税務署に提出する必要があります。

3月15日以降になってしまうと、その年は白色申告となり、翌年度から青色申告となります。

なお年度の途中で事業を開始した場合には、事業開始から2カ月以内となります。

青色申告特別控除にも種類がある

青色申告をすることで、最大65万円の特別控除をうけることができ、収入から支出を差し引いた利益額から、さらに65万円を差し引いた額を【事業所得】とすることができます。

確定申告書では、この事業所得や給与所得などの他の所得と足し合わせ(例外あり)【合計所得金額】を算出し、そこから社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除、基礎控除などの【所得控除額】を差し引きし【税率】をかけて税金の額を算出する仕組みとなっています。

ですので【事業所得】を少なくすることができるため、節税効果が高くなります。

青色申告で65万円の青色申告特別控除を受けるための要件

  1. 複式簿記で記帳していること
  2. 確定申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付すること
  3. 申告期限内に申告すること
  4. e-Tax による申告(電子申告)又は電子帳簿保存

なお4のe-Tax による申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行わない場合は、55万円の青色申告特別控除となります。

複式簿記での記帳を行い、日々の取引を記録していくことで、年間の収支を計算し経営成績を示す【損益計算書】と、決算日時点の資産、負債、自己資本の残高をまとめて財政状態を示す【貸借対照表】を導き出すことができます。

が、なかなかハードルが高くなっています。

貸借対照表

しかし、最近では会計ソフトの普及により、簿記の知識がなくても貸借対照表が作りやすくなっています。

串本町商工会では「商工会クラウド・MA1商工会エディション」は、商工会会員事業者向けのインストール型のクラウド経理ソフトをオススメしています。

★「商工会クラウド・MA1商工会エディション」についてはコチラの記事をご覧下さい

複式簿記の知識がなくても現金出納帳や伝票の入力ができ、決算書や申告書の作成が簡単にできます。

わからないことがあっても、商工会による操作方法のサポートや記帳・経理等の支援が受けられます。

  pdf 商工会クラウド・MA1商工会エディション_リーフレット.pdf (3.3MB)

創業の方でも、串本町商工会でサポート致します。ぜひご検討くださいね。

65万や55万の特別控除の要件を満たさない青色申告の方は10万円の特別控除となります。

貸借対照表を作成して提出することで、特別控除額は大きくなりますが、手間がかかることでもあります。

しかし貸借対照表は、自社の財政状態を表すものですので、提出はしてもしなくても作成する価値は十分あると思います。

青色申告決算書の「勘定科目」を見てみよう!/経営指導員 吉村牧子

【決算・確定申告】のスケジュール

個人事業の決算期間は、1月1日から12月31日まで1年間となっています。その期間の決算をおこない税金の額を計算して、3月15日までに確定申告をすることになります。

それに間に合わせるためには、日々の取引を記録していく必要があります。

よく見かけるのが、日々の記帳が遅れているパターンです。

日常業務に追われて、個人事業主の方はなかなか難しいとは思いますが、一年分をためてしまったとなると大変です。

また記帳の作業が大変なだけでなく、いざ決算・申告を作ってみると、思いのほか儲かりすぎで高額な税金を払うことになったりする場合もあります。

理想的なのは、ある程度の時期(私は10月ぐらいが一番よいと思います)に今年の収支がどのくらいの水準になるのか目星をつけておくことが重要だと思います。

そうすることで、必要な設備の購入や修繕、小規模企業共済の掛金、経営セーフティ共済の掛金の前納(1年先の分まで支払った分は、当年中の控除が可能)ができたりと、対策を考えることができます。

記帳が遅れてしまうことで、こういった対策を打とうにも、手遅れとなってしまうこともありますので、ご注意下さいね。

★【確定申告】について相談できる窓口のご案内

【2月16日~3月15日】令和5年度の決算・確定申告準備するもの【要チェック】

年に一度の大仕事、決算・確定申告。準備物を覚えておくのも大変です。

この記事では、決算、確定申告の準備に必要な書類や手続きについて解説しています。

12月末締めの帳簿から残高を集計すること、在庫高や家事消費の計上、事業用資産の購入状況や、受け取った補助金の明細など、決算業務や確定申告に必要な資料は多岐にわたります。

また、控除対象者の情報など個人情報の含まれるものや、その他収入証明などのも注意が必要です。

加えて、社会保険料や小規模企業共済の控除、生命保険料や地震保険料の控除証明書、医療費控除、住宅ローン控除、ふるさと納税の受領証明書など、様々な控除項目についても触れています。

決算・確定申告の準備にも時間がかりますが相談する窓口もございます。この記事でまとめてご紹介しますので、ぜひご一読いただきたいと思います。

★【2月16日~3月15日】令和5年度の決算・確定申告準備するもの【要チェック】/経営指導員 上松也泰

【決算・確定申告】を自分でやるのが難しい方

串本町商工会では、決算・確定申告の相談のほか、確定申告相談会や近畿税理士会による税務相談を開催し、皆さまのサポートを行っています。

また、商工会以外の窓口もあわせてご紹介します。

いずれの窓口でも相談を希望される方は、収入金額や必要経費等について整理したうえでご来場ください。

レシート、領収証の束、1年分を持参される方はについては、商工会では引き受けかねますので、前もって整理して、集計してくださいますようお願いいたします。

★集計には、コチラのような集計表を使用される方も多いです

所得税確定申告についての相談窓口のご案内

事業所得(営業、不動産等)のある方は

  • 串本町商工会の確定申告相談会(古座会場)
  • 串本町商工会の決算・確定申告相談
  • 近畿税理士会による税務相談

事業所得のない方は

  • 串本町役場の所得税確定申告・町県民税申告相談
  • 税務署主催 確定申告出張相談

などの窓口がございます。

★【確定申告】について相談できる窓口のご案内

【決算・確定申告】自分でやってみる方、人に任せる方、共通してお伝えしたいこと

ご自身で確定申告をされる方、税理士さんや商工会に任せる方に共通してお伝えしたいことは、

・10月頃までに収支の目途をたてておくこと
・利益額に余裕があり、節税対策が必要であれば、有効な設備投資や修繕などを実施すること
・小規模企業共済、経営セーフティ共済に加入されている方については、節税対策が必要であれば、掛金の前納などの活用も視野に入れる

・決算書や会計データを経営の分析に活用してみる

ということです。
特に小規模企業共済は、事業をされている方には加入しておいていただきたい【経営者自身の退職金制度】といえる共済で、掛金は全額所得控除できます。

まだ加入されていない方は、串本町商工会で加入できますので、コチラの記事もご確認くださいね。

決算書や会計データを経営の分析に活用してみる

決算書は、税務申告のためにだけ使うのはもったいないと思っています。
決算データや会計資料を分析することで、未来予測や自社の目指す理想の姿への不足部分が見えたりと様々な活用法が考えられます。

活用法としては、

  • 決算の数値を細分化してみる
  • 過年度の決算との比較してみる
  • 業界平均と比較してみる
  • 過去の記録をもとにして、未来予測を作ってみる

などが考えられると思います。

決算の数値を細分化してみる

例えば。売上高などひとくくりになっているものを、商品別に見たい場合や、取引先ごと、販売形態別(ネット、卸、店売り)などに細分化してみることで、貴重な情報を得ることができます。

また、併せて細分化したそれぞれの売上に対する、仕入原価や製造原価、粗利、販売数なども拾えたらいいですね。

しかしながら日々の記帳を行う段階で、補助科目などを設定をしておいたりなどの工夫をしておかないと、大変な労力が必要となります。

データをとろうとするときには、どのデータをこれから観測していくのかをあらかじめ決めておいた方が効率的ですね。

過年度の決算との比較してみる

自社の決算数値を、過年度と比較してどういう変化をしてしているのか、ということを見ることも有用な情報だと思います。

事業計画などを作って、補助金申請をする場合や金融機関への融資を申し込む場合にも、自社の経営成績や財政状態がどのように推移して現在どのような状態になっているのかを一目でみれるように【見える化】しておくことで、自分だけなく、自社のことを利害関係者に理解してもらう場合に役立つ資料となります。

業界平均と比較してみる

自社が所属している業界の平均値や、めざすべき企業の数値を比較することも可能です。

個人事業と法人を比較する場合には、ある程度の加工は必要になりますが、自社の会計を把握することで、比較対象に合わせて決算数値を組み替えたりすることもやりやすくなると思っています。

比較をすることで、自社に足りないものがわかったり、目指すべきものが見えたりするため、有用なデータとなります。

過去の記録をもとにして、未来予測を作ってみる

過去の数値データをもとに将来どうなっていくかという数値計画や予算も立てることができます。

予測した数値があれば、実績値が判明した時に、数値計画や予算との違いを把握することができます。

なぜ不足したのだろう?なぜ予想よりうまくいったのだろう?とまず、数値計画や予算と実績値との違いを数値として明瞭に把握できます。

予測がない場合には【なぜ違うのか】という発想にはならず、改善のためのデータにもなりにくいでしょう。

予測と実績との差異を把握することで【では今度はこうしてみよう】という発想となるため、数値計画や行動計画の修正に役立ちます。

ツールを活用して自社の経営診断をやってみる【ローカルベンチマーク】

病気の治療に早期発見が欠かせないように、企業も経営課題を早めに見つけて、しっかり向き合っていくことが大切です。

課題をそのまま放置しておくと、経営のリスクはどんどん高まってしまいます。

その課題発見に役立つのが、企業の健康診断ツール【ローカルベンチマーク】です。

★マンガでわかる「ローカルベンチマーク」→コチラ

数値データを入力することで、経営上の【数字】を分析することができます。決算書(損益計算書や貸借対照表)などから数値を入力していくと、同業種の企業と比較してどのような位置にあるかを点数化してチャートで表示してくれるツールです。

また、数値面の分析だけではなく、【非財務(業務フロー、商流、4つの視点)な情報を入力することで、自社の【現状認識】を一つのストーリーに整理できます。

また将来目標の設定や、現状と目標のギャップから【課題】と【課題への対応策】を記載していくというものです。

実際にやってみて、自分には難しいと感じる方、串本町商工会の経営指導員ご相談ください。

また商工会には、無料で利用できる専門家派遣制度もありますので、お気軽にご相談くださいね。

数値データを利用して、漠然とした頭の中の計画を、説得力のある事業計画書にまとめてみる

ローカルベンチマークを活用して事業計画にまとめるのもいいだろうし、自己流ももちろんいいと思います。

難しければ、商工会の経営指導員や専門家派遣制度を利用して経営コンサルタントなどの専門家のアドバイスを聞くのもいいと思います。

また、事業計画ができたら補助金申請へのチャレンジもおススメですよ!

【補助金】を活用して経営に活かしませんか?募集中の補助金をまとめました

この記事のまとめ

この記事では【決算や確定申告】を自分でやってみたい方や、自分では難しい方に、串本町商工会の【決算・確定申告】についての支援策をご紹介させていただきました。

また、会計データや決算書は、税務申告のためだけに使うのではなく、これからの予測をして経営計画に活かす方法にもふれました。

商工会の業務内容も、従来の税務申告や年末調整、労働保険などを請け負う仕事から、計画的な経営をすすめていただくための【事業計画の策定支援】へと変化してきています。

皆さまも、せっかく作った会計のデータ【宝の山】から、経営に役立つデータを抽出して、どんどん活用していってもらえたらと思います。

この先、串本町はどんどん人口が減少し、経営も難しくなり、商店も減少していきます。

計画的な経営を取り入れて、少しでも商売の成功確率をあげて串本町の経済活性化につなげていただければと思います。

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